みんなの楽しそうな顔に支えられ
つ・づ・き。
東京での仕事が忙しくなりだんだん東京と金沢の行き来が時間も体力もつらくなってきました。
せっかく借りているのに行かないともったいない、と考えるようになりストレスに感じたことも。
かわいい「atelier Lotta」を手放すのは本当に悩んだ。
東京にいる時は大家さんに今年の更新はしない考えを伝えられるのに、金沢に来て部屋の鍵を開けて空気の入れ替えをしていると「やっぱりここ、好きだなー」と迷いが出ちゃうの。
その都度大家さんに「やっぱり……」って撤回して、何度もこんなやりとりを繰り返しました。
でもね、一番の私の迷いはイベントに毎回足を運んでくださる方が多く、その時のみなさんの楽しそうな顔が頭に浮かぶから……。
結果、3月の更新は一旦手続きをしてすべてのイベントが終わる7月にお引越しをしようとなったわけです。
それを告知した時、みなさんから「寂しくなる」「悲しい」「ずっと金沢にいて欲しいです」と。出店してくれた友人達からは「金沢に行く機会をありがとう」「楽しかったー」と。
「イベントに合わせて初めて金沢に旅行に来ました」「金沢の良さを教えてくださりありがとうございました」「たくさんの素敵なものを紹介してくださり感謝します」なんてこの上ないお言葉」もたくさんいただきました。
私がみなさんに感謝なのに、私がみなさんから感謝されちゃった。
たくさんの素敵な出会いとたくさんの心の贈り物をいただき、たくさんの思い出と心の贈り物が返せたと自負しています。
やりたいと思ったら動く
物件を決めた時の『ワクワクするもの』は、まさにこの2年4ヶ月の時間で十分すぎるほどワクワクしました。
金沢という地を直感で選び(物件が大好きな店『おでん若葉』さんの目の前だったから)そこにアトリエを構えたことに1ミリも後悔なし。
なんなら「チャレンジしたわたし、えらかったぞ!」 と思っています。やりたい(私の場合アトリエを持ちたい)と思ったことはやってみるべきよ。
わたしが2年4カ月前に『アトリエはいつかね』と夢を諦めていたらきっと”いつか”はこなかった。
愛犬つぶが当時は目も見えて耳も聞こえていました。でも今は元気だけど目も耳も飾り物になって半介護、こんな状況だったらまず二拠点生活なんてしたくても諦めていました。すべてタイミング。
アトリエの鍵はお返ししたけどずっとのお別れではありません。
大好きな金沢だもん。会いたい人もたくさん。
ありがとう、金沢。
出会ったみなさんに感謝しています。
おまけ
『私的金沢裏案内』の本を書きたいです。
読んでくださってありがとー!
桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。現在は、文筆業や、買い付けなどを行う。『カフェロッタのことと、わたしのこと』『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(ともに旭屋出版)に続く3冊目の著書『マダム・ロッタとパリ行かない?』(旭屋出版)が好評発売中。
インスタグラム:@kaorilotta
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