(『天然生活』2022年9月号掲載)
梶谷奈允子さんの美しい押し花の楽しみ
贈りものの定番といえる花束、身近に咲く花など、どんな草花でも簡単につくれる押し花は、梶谷さんにとって記憶や情景をふっと思い起こさせる“香水”のような存在だといいます。
「写真は残すことができますが、生花はそのままだと枯れてなくなってしまう。押し花にすれば、記念品のようにいつまでもそばに置いておくことができ、その押し花を見るたびにつくったときの出来事も思い出す。まずは、お気に入りの植物で挑戦してみてください」
また、手軽に始められる押し花ですが、最初は花びらの厚みがあまりない、小さな草花でつくることをおすすめします。水分が多い、空洞があるものは、押し花にしにくく、初心者には難易度が高いそう。また、押し花をカードや台紙に貼るときは、小さいサイズのものから始めるとレイアウトに悩まず、バランスよく仕上がります。
草花をいつまでも残しておけるだけでなく、長持ちしにくい花や、植物に手をかける時間のない人にとっても押し花は向いています。
「押し花は、時間の流れを愛でるもの。時を宿した葉脈や色合い、質感は、美しさそのものです」
厚紙を使ってメッセージカードに
厚紙に押し花をあしらうことで、味わいのあるメッセージカードに。
時の流れとともにゆっくり変化する押し花は、生花のときには気づかなかった魅力が浮き立ち、花びら一枚をとっても、端正な佇まいや温かみを見せてくれます。
大切な人に贈るひと言と合わせて選ぶ一輪は、受け取る人にとっても宝物になるはずです。
◾️ポイント
花が開いた状態で押し花にすると花びらだけでなく、おしべやめしべの形状も残せる
◾️花材
バラ、シロヤマブキ、デルフィニウム
◾️その他材料
ポストカードサイズの厚紙、木工用接着剤、ペン
<制作・スタイリング/梶谷奈允子 撮影/大沼ショージ>
梶谷奈允子(かじたに・なみこ)
「ゼロトゥスリー」主宰、フラワーデザイナー。著書に『美しい押し花図譜』(誠文堂新光社)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです