芽も根も力強く伸びる「玉ねぎ」の再生栽培
玉ねぎを半分に割ると、中央の部分がねぎのように緑色になっていることがあります。生長したくてたまらないようです。
実際、そのまま放置すれば、ねぎのように伸びていきます。
玉ねぎを育てるなら、東京の場合は秋に苗を植え付けることになります。この苗は、さきほどのねぎに似た部分から簡単に作ることができます。
玉ねぎの根元を薄くスライスして水に浸かるようにすれば、根はぐんぐんと水の中へ広がっていきます。
その後、中心部分が生長を始めます。15cmほどに伸びたら芽ごとに分け、土に植え付ければ仕込みは完了です。
春になり、暖かくなってくると白い根元が膨らんできます。ねぎにしか見えなかったものが、膨らむことでちゃんと玉ねぎに見えてくるから不思議です。
根元の膨らみが玉ねぎらしくなり、葉が倒れてきたらいよいよ収穫です。数日は干して、乾燥させます。
秋に植え付けるタイミングによっては、とう立ちするかもしれません。蕾を付けると根元が膨らみません。つまり、よく知った顔の玉ねぎにはならないのです。
それでも食べられますし、何よりポンポンのような花は、とても素敵で絵になります。茎は力強く硬くなり、驚くほど背を伸ばします。
花を咲かせようとする意思が感じられて、惚れ惚れするほどかっこいいのです。
上へ上へと芽が伸びてゆく姿を眺めるのは、気持ちの良いものです。苗として植え付けなくても、水栽培で育て、ねぎに似た部分を香味野菜として食べてもいいですね。
玉ねぎを再生栽培してみよう
玉ねぎってどんな野菜?
● 育てやすさ | 育てやすい |
● 蒔きどき | 秋 |
● 育てる場所 | 日なた |
玉ねぎの育て方
1 玉ねぎの根元を2cmほど残して水平に切る。玉ねぎの直径よりも狭い口の瓶に載せ、根だけが水に浸かるようにする。
2 毎日~数日ごとに新鮮な水に取り替える。
3 葉が15cmほどに伸びたら、根を切らないように芽を分け、土に植え替える。
4 生長が見られるまで、土が乾かないように管理する。
【再生栽培について】
・「育てやすさ」「育てどき」「育てる場所」については、著者の経験をもとに記載しています。
・食材だった植物を栽培し、収穫物を食用として利用したことを紹介していますが、あくまで著者の経験によるものであり、食べられることを保証するものではありません。
・紹介している栽培や育成方法、植物の生長などは関東南部を基準地としています。お住まいの地域、環境、品種により異なります。
・種や苗の譲渡については種苗法に従ってください。詳しくは農林水産省のHPなどでご確認ください。
・特定の植物にアレルギー症状の出る方、妊娠中・授乳中の方、病気治療中の方、体質などに心配のある方は、栽培を始める前に、かかりつけの医師にご相談ください。
・掲載している情報・データは2024年6月時点のものです。
〈撮影/良原リエ〉
※ 本記事は『もういちど育てる庭図鑑』(アノニマ・スタジオ)からの抜粋です。
良原リエ
音楽家。アコーディオンやトイピアノ、トイ楽器の演奏、さまざまなジャンルの音楽制作に関わる。庭仕事は一番のライフワーク。特にハーブや雑草をこよなく愛する。都会の住宅街で、多様な生きものが棲むビオトープガーデンを目指し、実験を重ねている。著書に『食べられる庭図鑑』『たのしい手づくり子そだて』『まいにちの子そだてべんとう』(アノニマ・スタジオ)、『トイ楽器の本』(DU BOOKS)、『音楽家の台所』(コノハナブックス)など。
インスタグラム:@rieaccordion
著書『食べられる庭図鑑』インスタグラム:@rieaccordion_garden