(『天然生活』2024年11月号掲載)
家族や地域で支え合う。いまも昔も変わらぬ幸福の形
17年前、息子・凛太郎くんの出産を機に「女優ではなくひとりの母として、生まれ育った自然豊かな地で子育てを楽しみたい」と大分へ移住した財前直見さん。
現在じいじこと父・紘二さん、ばあばこと母・カツ子さん、息子・凛太郎くんと仲良く暮らしながら、畑を耕し、自然の恵みを享受する生活を送っています。
「スローライフという言葉がありますが、わが家は全然スローじゃない(笑)。野菜も果物も一度にたくさん採れるので、すぐに加工したり、ご近所に配ったりと毎日忙しく過ごしています。
秋になると夜通し栗の皮を剥くこともあるんですよ。ときにはご近所から釣れたての新鮮な魚を頂くのでわが家の食卓は旬の食材だらけ。そのお陰か、じいじは84歳、ばあばは83歳ですが、ふたりとも病気もなく医者いらずです。じいじは月に4回ゴルフにも出かけているんですよ」
財前家の暮らしからは健康長寿の秘訣が伝わってきます。
生後9カ月から大分で育った凛太郎くんも現在17歳。最近は祖父に習い、畑仕事を学ぶ機会も増えました。
「子どものころから自然が遊び場でした。やさしくて働き者のじいじには“見て学べ”という姿勢を、料理上手のばあばには“自然の恵みをむだにせず大切にいただく”ことを教えてもらっています。母が芸能人だということもふだんは忘れていますね。この環境を与えてくれた母には感謝しかないです」と凛太郎くん。
「ここでの暮らしは人間としての営み、真の幸せとは何なのかを教えてくれます。家族や地域の人たちとのつながりが強く、助け合い、分け合える。自然の力に敬意を感じ、感謝しながら生きていくことの素晴らしさを次の世代にもつないでいきたい」
心身ともに健やかな暮らしを手にした財前さんの柔らかな笑顔が印象的です。
財前さんの新しい暮らしの形
畑で野菜づくり
3600坪の田畑、1800坪の山を有する財前家は自家用にさまざまな作物を栽培しています。
山々に囲まれ、豊かな土壌と美しい水に恵まれた土地で育つ野菜は元気いっぱい。無農薬栽培で滋味が凝縮されています。
収穫後は新鮮なうちに財前さんと母・カツ子さんが調理。ここでは畑と食卓が直結しています。
※『天然生活』2024年11月号、P.14~25「みんなでつくる 新しい暮らしの形」では、財前直見さんの大分での暮らしをもっと詳しく紹介しています。母から受け継いだ着物やレシピのこと、保存食づくりなども。ぜひご覧ください。
〈撮影/繁延あずさ 取材・文/中野智恵 ヘアメイク/平田美紀〉
財前直見(ざいぜん・なおみ)
1966年大分県生まれ。18歳で上京し、1985年女優デビュー。大河ドラマ「光る君へ」では「蜻蛉日記」の作者、藤原寧子を好演。現在放送中のNHK BS時代劇「おいち不思議がたり」に出演。家族で大分での暮らしを紹介するNHK Eテレ「財前直見の暮らし彩彩」も9月29日に放送。著書『直見工房』『自分で作る ありがとうファイル』など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです