(『天然生活』2020年2月号掲載)
オイルの力で体内を潤し、代謝をよくする
乾燥が気になる季節。美容の面だけでなく、乾きは感染症にかかりやすくなるなど、健康面でも悪影響を及ぼします。体も寒さでおのずと縮こまり、体内のめぐりも悪くなって、不要なものを体にため込みやすくなります。
そんな季節の不調を乗り切るために、アーユルヴェーダで推奨しているのが、オイルの力で体内を潤し、さらに代謝をよくするお手当て。
アーユルヴェーダを実践する高瀬媛子さんに、まず教えていただいたのが、手軽な材料で手づくりできるオイル。じっくりと熱を入れてつくります。
「ギーの場合は成分が純化されているので食べても代謝がされやすくなりますし、むしろ積極的に摂りたい素材に。油は健康の大敵というイメージがありますが、よい油を少量ずつ継続して摂取することは、健康のためにも美容のためにも、いいんですよ」
高瀬さんの夜のお手当て
ギーのアイパックでクールダウン
食べてよし、そして塗ってよしのギー。とくにおすすめなのが、スマートフォンやパソコンの液晶の見すぎによって疲れ、ヒートアップした目へのいやし効果。
「まぶたに塗るとスーッと心地よく冷えるのがわかると思います。また、毎日少しずつ食べると肌つやがよくなり、美容と健康の底上げになります。ただ、カロリーはそれなりにありますから、食べすぎには注意を」
寝る前に、清潔なスプーンや綿棒でギーを耳かき1杯分すくう(直接指を入れたり、使い回しのスプーンを使うと、雑菌が入ってカビが生えるので注意)。
ギーを指で軽くこすり、体温で溶かして液状にし、塗り広げやすい状態にする。ギーは油には珍しく、体の熱をほどよく取り去る働きをもつ。
上下のまぶたに塗り、疲れた目を冷やす。おでこにも塗れば、頭を休ませる効果で安眠できる。翌朝、目やに状のものが出た場合は、やさしくふき取る。
リラックスできるローズスプレーも併用
抗炎症効果のあるローズウォーターは心も体もクールダウンしてくれます。ひと吹きすれば優雅な香りに包まれます。ギーのパックをする前に行って。
疲れ目をひんやりリフレッシュ。ローズウォーターで湿らせたコットンを目にあてて10分ほどおく。
ローズウォーターは、香料などが入っていないピュアなものを。ブルガリア産が手頃で入手しやすい。「生活の木」や「東急ハンズ」などで買うことができる。
ギーのつくり方
バターをじっくり温め、純粋な乳脂肪を取り出します。水滴などが入って腐敗しない限り、ずっと使うことができます。
材料(つくりやすい分量)と道具
● バター(食塩不使用) | 300g |
底の様子がよく見える鍋、コーヒードリッパー(またはざる)、厚手のキッチンペーパー、清潔で乾いた耐熱びん、へら
手順
1 バターを鍋に入れ、弱火にかけて溶かす。
2 バターが溶け、全体にフツフツと泡立ってくる。
3 上部の泡をへらでさっとなでて寄せると、バターが透明になって鍋底が見えてくる。
4 泡が細かくなり、寄せて鍋底がはっきり見えたら完成。すぐに火から下ろす。所要時間の目安は10分。こがさないように注意。
5 保存するびんの上にコーヒードリッパーをのせ、キッチンペーパーをかぶせてから、熱いうちにギーを注いでこす。完全に冷めたらふたをして冷暗所で常温保存する。
活用方法
疲労回復にひとさじ、軽いやけどや皮膚炎に薬感覚でひと塗りなど、アーユルヴェーダにおいて、ギーは万能の存在。ちょっとした不調を感じたときにも、温かい食べ物や飲み物に少し足してみましょう。
〈撮影/山川修一 取材・文/福山雅美 構成/鈴木麻子〉
高瀬媛子(たかせ・あきこ)
「アーユルヴェーダな女優」として料理教室や講演活動を通じて「ホリスティックな暮らし」を提案している。
インスタグラム:@akiko_takase
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです