(『天然生活』2021年1月号掲載)
お金を知ることは、社会ときちんとつながること
すみずみまで整えられた暮らしぶりや勉強熱心な姿から、その言葉はちょっぴり意外でした。
「お金関係にはとことん弱いんです。もともとざるで、壊れた水道だって家族からは言われたりしていたんです」と笑います。
そんな柳沢さんですが、目下、お金について勉強中なのだそう。一番のきっかけは42歳のときに家を建てたこと。それまでは、お金=苦手なこと、とつい後回しにしてきたけれど、きちんとお金を持って自分を守らなければいけないとハッとしたといいます。
「お金のことを知ることで、社会の仕組みを捉えたり、社会ときちんとつながったりできると思います。お金をただやみくもにためるということではなく、自分がいまどういう状況にいるかを把握し、常に風通しをよくしていたいです」
大切なことは、“節約=何も買わない”ではないということ。つい、むだに使ってしまう自分のゆるみポイントを把握しつつ、優先順位を明確にすると、お金をかけるところと削るところのメリハリをつけやすくなるそう。すると無理をせず、お金の整理ができるように。
「今回、紹介したのは、“いま”の私ががんばらずにできていること。まだまだ勉強中なので、情報収集しながら今後もゆるくアップデートしていけたらなと思います」
柳沢小実さんの「使いすぎない工夫」5つ
柳沢さんの場合は、食費、レジャー、洋服、学習の4つは減らしたくない項目。その代わり、むだな出費はしないように気をつけているそう。
「自分のゆるみポイントを知って対策しています」
使いすぎない工夫1
リッチなパンは週末のみ
ひと月で:-1,650円
リッチ食パン 毎日5,250円⇒週末だけ3,600円
「以前、パン代がどれくらいかを計算したら、ひと月に5,000円を超えていて、これはちょっとまずいなと。いまは、お気に入りのパン屋さんで買うのは週末のお楽しみにしています」
平日はスーパーなどで買える手頃なものに。十分おいしいし、週末の特別感もあって、替えても満足しているそう。
使いすぎない工夫2
ポイントカードはつくらない
ひと月で:-3,000円
月3回のポイントデーで1回あたり1,000円の出費⇒0円
ついついたまってしまうショップのポイントカード。柳沢さんはなんと1枚も持っていません。
「以前は何枚もあったけれど、欲しいものはないのにポイント〇倍!などのときにあれこれ買って何千円にもなったことがあったんです。お金をむだに使う機会を減らしたいと思って全部処分しました」
使いすぎない工夫3
リペアをできるものを選ぶ
購入し直せば:数万円
リペアすれば数千円~
キッチン道具や家具は、よいものを長く使いたいからと、間に合わせのものは買わないようにしている。
「このやかんは持ち手がアケビでできていますが、この部分だけを編み直してくれるそう。ほかにも研ぎ直しや刃の部分だけ替えられる包丁など、リペアすれば何年も使えるものを選んでいます」
使いすぎない工夫4
消耗品はオンラインショップで
ひと月:-3,000円以上
たとえばトイレットペーパー。無香料のダブル、省スペースになるものがお気に入りで、それだけしか使わないと決めているため、ネットショップで購入。
「ドラッグストアだとない場合があるのと、行くとつい余計なものを買ってしまいがち。それを防ぐためにも消耗品はネットでと決めています」
使いすぎない工夫5
商品券で駐車料金サービスを
一度の利用で:-600円
駐車料金1時間600円⇒実質0円
幾ら以上買えば〇時間無料といったサービスのある百貨店などの駐車場。金額が満たない場合は商品券を買うようにしているのだとか。
「人に教えてもらった裏ワザです。商品券を買えばそれが上乗せされるうえ、次回その商品券を使えば、その金額が次回の駐車料金に該当するからむだになりません」
〈撮影/中垣美沙 取材・文/結城 歩〉
柳沢小実(やなぎさわ・このみ)
エッセイスト。衣・食・住、旅に関する著書多数。ブレのないもの選びに定評がある。より心地よい暮らしを求めて整理収納アドバイザーの資格を取得、旅先での触れ合いをきっかけに大学で中国語を学ぶなど、軽やかに新たなチャレンジを続ける姿にファンが多い。お金がテーマの『私らしい暮らしとお金の整え方』(主婦の友社)などの著書もある。
インスタグラム:@tokyo_taipei
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです