(『天然生活』2022年4月号掲載)
「ミトコンドリア」を増やして、代謝のいい体に
年齢を追うごとに「やせにくくなった」と悩む人は多いのではないでしょうか。
女性の体形改善の施術も行う整骨院代表の今村匡子さんは、やせにくさの原因は、関節の可動域と体内の「ミトコンドリア」の減少にあるといいます。
「ミトコンドリアとは、脂肪や糖を消費してエネルギーをつくる細胞器官で、体の深層部にある筋肉に豊富に含まれます。ところが、加齢や運動不足で関節の動きが悪くなると深層筋が衰え、ミトコンドリアの機能が低下して数も減少。その結果、エネルギー代謝が滞って脂肪がたまりやすくなるのです」
これから紹介する「ねじれ筋のばし」は、ミトコンドリアがとくに多く含まれるという大腰筋やヒラメ筋などを、1日1回1分間、ねじりながら引きのばすエクササイズです。
使えていなかった深層筋を刺激してミトコンドリアを活性化させることで、脂肪が燃えやすい体になり「自然とやせていきます」と、今村さん。
「やせるために筋トレに励む人もいますが実は非効率です。筋トレで鍛えられるのは体の表層部にある表層筋。ミトコンドリアの数が少なく、筋肉自体に脂肪を燃やす働きもありません。また、ハードな食事制限で体重を落としても高確率でリバウンドしてしまう。基礎代謝を上げるねじれ筋のばしなら、必死にがんばらなくても少しずつ確実に成果が表れます」
「ねじれ筋のばし」の3つのコツ
〈コツ1〉可動域を少しずつ広げる
反動をつけず、「いた気持ちいい」程度にじわーっと筋肉をのばします。毎日1mmでも大きくのばしたりねじったりできるように、少しずつ関節の可動域を広げていきましょう。
〈コツ2〉1分のばしつづける
20~30秒ほどの一般的なストレッチでは、のびるのは筋肉だけ。硬くなった関節までほぐすには1分必要です。きつい場合はのばす程度をゆるめ、時間は必ず守ること。
〈コツ3〉呼吸を止めない
のばすことに意識が向きすぎると呼吸が止まったり浅くなったりしがち。自然な深い呼吸を心がけます。たっぷり酸素を取り込むことでミトコンドリアの働きも活発になります。
「腕ねじ胸のばし(内ねじり)」のやり方
肩甲骨の間にある菱形筋や縮こまりがちな大胸筋、おなかを覆う腹横筋を刺激する「腕ねじ胸のばし(内ねじり)」のやり方を紹介します。
エクササイズを始める前に
関節可動域をチェックしよう
体が硬い人は段階を踏むことが大切です。次の3つのポーズをとるのが難しければ、記事後半の「キツイ人はこうやって」のやり方から実践してみましょう。
Check 01 肩甲骨まわり
肘から上を壁に付け、壁と反対を向くように体をひねられるか。
Check 02 股関節①
つま先を立てて長座し、太ももやひざをつかめるか。
Check 03 股関節②
前後に開脚し、ひざに手をついてひじをのばせるか。
腕ねじ胸のばし(内ねじり)のやり方
腕を手前にねじって体をひねる動きで、肩から背中のこりをほぐし、ウエストのくびれをつくる筋肉を引きのばすことも可能に。
前腕をねじるとき、ひじの位置が上下したり肩がすくんだりしないように注意しましょう。
1 壁から少し離れて横向きに立ち、肩幅程度に足を開く。肩とひじを同じ高さにして、ひじから上を壁に付ける。
2 腕を手前側に180度ねじり、指先を真下に向ける。手のひらは壁に付けること。
3 そのまま体と顔を外側にひねっていく。90度近くまでひねられるのが理想。1分キープして、反対側も同様に行う。
キツイ人はこうやって
肩や背中が硬くなっている人は、前腕を180度ねじるのは難しいはず。角度をゆるめ、無理なく手のひらまで壁に付けられる位置から始めます。
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〈監修/今村匡子 イラスト/かとまり 取材・文/熊坂麻美〉
今村匡子(いまむら・きょうこ)
あさひ整骨院日本橋浜町院代表。姿勢改善や不調緩和の施術が、「痛みが消えるだけでなくやせる」と評判に。現在は女性の体形改善や自身の妊娠・出産体験を生かした産後ケアを専門にする。著書に『「やせたい」なんてひと言もいってないのにやせた 1分ねじれ筋のばし』(サンマーク出版)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです