(『天然生活』2017年10月号掲載)
靴下の穴にダーニング
ダーニングとは、ヨーロッパの伝統的な補修方法のひとつ。
マッシュルームのような形をした木製の道具を使い、経糸によこ糸を交互にかけ、織物をするように穴をふさぎます。
穴のあきやすい靴下のかかと部分。直径1cmほどの穴を、初心者でもやりやすい四角のダーニングで補修します。
材料と道具
⚫︎ カーキのコットン糸 70cm
⚫︎ 水色のウール糸 70cm
⚫︎ ダーニングマッシュルーム
⚫︎ ニット用のとじ針
ダーニングの仕方
1 靴下にダーニングマッシュルームを入れ、持ち手を握って穴を少し広げる。カーキの糸を針に通し、写真のように針を刺し、穴の5mmほど外側の位置に出す。
2 刺し始めの糸を10cmほど残して針を引き抜く。穴よりひとまわり大きく、周りを四角くランニングステッチする。このステッチがダーニングのガイドの線になる。
3 一周したら、経糸をかけていく。ステッチした部分の少し外側を右下から右上に向かって糸を渡し、マッシュルームを持っているほうの指で渡した糸を押さえながら、靴下の編み地をひと針すくう。
4 同様に上から下へ、下から上へと、経糸をかけていき、そのつど、靴下の編み地をひと針すくう。経糸と経糸のすき間は糸1本くらいを目安に。
5 2のランニングステッチの左側まで経糸を渡したら裏に針を抜き、残った糸はそのままにしておく。経糸の本数は穴の大きさによって変わる。今回は11本。
6 次によこ糸をかけていく。カーキの経糸が横になるよう持ち直し、左下部分に水色の糸が出るようにマッシュルームの縁から針を入れて糸を出す。下から数えて偶数の経糸を1本ずつ交互にすくってよこ糸を通す。
7 上までいったら180度回転させ、靴下の編み地を小さく、ひと針すくって糸を引く。
8 続いて、先ほどすくわなかったほうの糸(下から数えて奇数の経糸)を針ですくってよこ糸を通し、靴下の編み地を小さく、ひと針すくう。これを繰り返す。
9 ある程度進んだら、針先で織り目を整えるようにして糸と糸の間を詰める。先の細いフォークを使うとよい。全体が埋まるまで6〜9の工程を行う。
10 面が埋まったらダーニングが完了。経糸とよこ糸がきれいに織られたような状態。左上の角に針を入れ、マッシュルームを外して針を裏に抜く。
11 靴下を裏返し、再度、マッシュルームを入れる。刺し始めの糸を裏側に引き抜いて針に通し、2のランニングステッチの糸を4~5回くぐらせながら編み地をすくう。
12 糸を切る。残り3本も同様に始末する。靴下を表に返し、軽くスチームアイロンを当てて織り目を整えたら、でき上がり。もう一足も同様にダーニングを行う(青とベージュの糸を使用)。
シャツの穴にダーニング
コットンやリネンなどにもダーニングができます。靴下の手法と同様に、シャツの穴を補修。
アクセントになるよう、ピンクの糸を選びました。
友人から、お直し依頼で預かっていたストライプのシャツ。
こちらも直径1cmほどの小さな穴。ダーニングで補修。
材料と道具
⚫︎ ピンクのコットン糸 70cm
⚫︎ 水色のウール糸 70cm
⚫︎ ダーニングマッシュルーム
⚫︎ ニット用のとじ針
ダーニングの仕方
靴下のダーニングと同様に、経糸、よこ糸を順にかけていく。
<制作/ミスミノリコ 撮影/枦木 功 構成・文/結城 歩>
ミスミノリコ(みすみ・のりこ)
美大でデザインやテキスタイルを学んだのち、ウインドウディスプレイやスタイリングの仕事に携わる。手仕事や手づくりのワークショップなども行う。繕いのアイデアを一冊にまとめた著書『繕う暮らし』(主婦と生活社)を上梓。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです