• 仏教の教えをヒントに、自分を見つめてみませんか? 新しい年にも役立つ、日々の心がけを、僧侶で著述家の草薙龍瞬さんに教わりました。今回は、「しょせん無理」「どうせ私なんて」......自己否定のループを止めるおまじないの言葉を聞きました。
    (別冊 天然生活『心と体が若返る小さな習慣』より)

    「いい」「悪い」、「好き」「嫌い」の判断をやめる

    画像: 「いい」「悪い」、「好き」「嫌い」の判断をやめる

    私たちは日々たくさんの「判断」をしており、そのほとんどがしなくてもいい、むだな判断です。

    「自分なんて」という自虐、「ついてない」という落胆、「やってもうまくいかない」という尻込み、「あの人はこうらしい」という品定めや、好き嫌いの人物評価。

    これらは、勝手な決めつけや思い込みにすぎません。判断をすると、わかった気になれたり、自分が正しいと思えたり、結論が出せた気がして気持ちがいいのです。

    だからついつい、人は判断してしまう。しかし、判断はやがて完璧主義、潔癖、批判的などの性格を形成します。

    思い込みが激しくなり、人間関係の軋轢を生み出します。判断をやめてみることで、人生はもっと楽になるはずです。

    ポジティブな言葉ではなく、自分を肯定する言葉を念じる

    画像: ポジティブな言葉ではなく、自分を肯定する言葉を念じる

    自己否定がやめられないとき、「自分はできる」とか「大丈夫、うまくいく」などとポジティブな言葉を自分にかけても、後ろ向きな感情が前向きに塗り替えられることは、ないように思います。

    むしろ、空々しく感じることのほうが多いのではないでしょうか。

    仏教が目指すのは「正しい理解」なので、現実と合致しない言葉がけを拠り所にはしません。

    大切なのは、自己否定という判断のループを止めること。

    そのためには、嘘のないシンプルな言葉を投げかけるだけでいいのです。

    「しょせん無理」「どうせ私なんて」などの自己否定が生まれたときには、ただ「私は私を肯定する」と念じてください。

    自己否定に歯止めをかけるための、おまじないの言葉です。

    自分を否定しそうになったら、散歩をする

    画像: 自分を否定しそうになったら、散歩をする

    「自分はダメだ」「またうまく行かなかった」などの自己否定も、判断のひとつです。

    繰り返してもいいことはひとつもありませんが、理屈で「自己否定をやめよう」と思っても、すぐにできるものではないでしょう。

    そもそも自分が判断をしていることに、人は気づけないもの。自分を決めつけるような考えが生まれたら「あ、判断した」と気づけるよう、心に留めてください。

    そして、自分を否定しつづけてしまうときは、外に出て散歩をすることをおすすめします。体の感覚に意識を向けられると同時に、屋外の景色や、温度などを感じられるからです。

    頭の中でもやもやと考えたりせずに、一歩、一歩、大地を踏みしめながら、空の色、街の明かり、木々の緑、ただよう香り、空気の冷たさ(または暖かさ)をキャッチします。

    いま存在しているのは、感覚だけ。その事実を感じられたら、頭の中をぐるぐるしていた苦悩が「もうない」とわかるはずです。

    自分を否定しがちな人は、ぜひこのエクササイズを続けてみてください。

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    <監修/草薙龍瞬 構成・文/石川理恵 イラスト/しまむらひかり>

    草薙龍瞬(くさなぎ・りゅうしゅん)
    宗派に属さず、仏教の本質を伝えている僧侶。興道の里で仏教講座を開催。『反応しない練習』(KADOKAWA)、『大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ』(筑摩書房)、『消えない悩みのお片づけ』(ポプラ社)など累計著書が30万部を超える。日々に役立つ仏教についてブログでも発信。https://genuinedhammaintl.blogspot.com/

    ※記事中の情報は、別冊 天然生活『心と体が若返る小さな習慣』掲載時のものです



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