(『天然生活』2023年5月号掲載)
ときめく品を、少しずつ日常になじませて
工芸喜頓店主の石原文子さんに、「新年にそろえたい、日本のいいもの」を教えてもらいました。
新年に向かう時季は気持ちもなんとなく浮き足立って、お財布のひもがいつもよりゆるむものです。
さて、そんな言い訳をしつつ、いつもは躊躇してしまうちょっと贅沢なものを、えいっと買ってしまいましょう。
「新年らしいといえば、やはり漆でしょうか。仁城さんの漆の鉢はとても美しく、新年の食卓にふさわしい佇まいです。それでいて、盛るもの次第では、日常の食卓にも自然になじむのが魅力」
さらに自分へのプレゼントとしておすすめなのが、個性的な器。
「掛谷さんの“練上げ”という手法でつくる模様が美しい器や、ヴィンテージの趣をもつワイングラスなど、定番とは少し変わったものも、新年ならではのチャレンジとしてよいのでは。
華やかな気持ちで取り入れた器を、1年かけて日常になじませていく……そのように、お気に入りの器を少しずつ増やしていけたら素敵ですね」
工芸喜頓店主・石原文子さんおすすめの、「日本のいいもの」
西川孝次さんの「ワイングラスあられ」
ボディについたあられとステムのバランスが絶妙なグラス。「西川さんの遊び心と好奇心が感じられます。どこか、ヴィンテージな雰囲気なのも魅力です」
芹沢銈介の「手拭いとふきん」
手拭いやふきんは、年始のあいさつにもぴったり。「洗った器をふく実用品としても、かごなどにさらりとかけるインテリアアイテムとしても活躍」
仁城逸景(にんじょういっけい)さんの「五寸鉢」
深さがあるので、汁気のあるおかずにぴったり。「仁城さんの器は漆器といえども、気取らない“木の器”いう印象が強く、日々の食卓になじみます」
惣堂窯(そうどうがま)
掛谷康樹(かけややすき)さんの「練上手耳付鉢(ねりあげでみみつきばち)」
手のひらにすっぽりおさまるほどのミニサイズの花器は、オブジェとして。「色合いのやさしさにいやされます。細いドライフラワーを1輪挿すのも素敵」
小鹿田焼(おんたやき)
坂本工窯(さかもとたくみがま)の「土瓶」
普遍的な美しさ、ゆったりとした存在感の土瓶。「容量がたっぷりで、温かいお茶をたくさん飲みたいこの時季にぴったり。水きれのよさもいいですよ」
佐藤隘子さんの「ノッティング(椅子敷)」
シンプルな椅子を暖かに彩ってくれるノッティング。「佐藤さんの作品はゆったりと穏やかな印象ながら、モダンかつ普遍的なデザインが特徴です」
〈撮影/林 紘輝 スタイリング/竹内万貴 取材・文/福山雅美〉
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
工芸喜頓
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営業時間:13:00~18:00
㊡日・月・火曜、祝日
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