藤井小牧・著『カフェ風精進料理 こまき食堂』より
ゴーヤーの玉子風炒めのつくり方
炒り玉子? と思ったその正体は、カレー風味の豆腐。カレーとしょうゆの組み合わせは、ごはんがすすみます。
材料 (4人分)
● ゴーヤー | 1本 |
● 木綿豆腐 | 1丁 |
● ごま油 | 小さじ1+小さじ1 |
● しょうゆ | 小さじ1 |
● A | |
・カレー粉 | 小さじ1 |
・しょうゆ | 大さじ1 |
・みりん | 大さじ2 |
つくり方
1 玉子もどきをつくる。豆腐はキッチンペーパーに包み、軽く水けをきる。Aは合わせておく。
2 フライパンを熱し、ごま油小さじ1を入れる。豆腐を加えて、木べらでくずしながら炒める。さらにAを加え、水分を飛ばすように炒め、ボウルに移す。
3 ゴーヤーは縦半分に切ってスプーンで種とワタをこそげ取り、3mm幅に切る。
4 フライパンにごま油小さじ1を熱し、3をしんなりするまで炒める。2、しょうゆを加えて全体を炒め合わせる。
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精進料理の副菜
藤井さんがつくるのは、いまの時代に無理なく寄り添える精進料理。なかでも副菜は、昔ながらの精進料理とは、さらに一線を画すものかもしれません。
ゆでたり煮込んだりするばかりではなく、サラダ仕立てにしたり、さっと湯がいてすっきりと仕上げたり。通常は甘辛く煮つけることの多い切り干し大根も、さっぱりとマリネして、ひと味違う雰囲気に仕上げるなどの工夫をしてあります。
料理は、味はもちろんのことですが、まずは「おいしそう!」と思わせる第一印象も大切。だからこそ、素材そのものの色の美しさを生かすような組み合わせを考えています。
精進料理の考え方
1 五味・五色・五法
五味は、「甘・塩・酸・辛・苦」、五色は「黒・白・赤・黄・青(緑)」、五法は「生・煮る・蒸す・揚げる・炒める」を表します。この、五味・五色・五法を効果的に組み合わせることによって、栄養がととのい、バランスのよい食事をつくることができるのです。また、見た目も美しく、食べる側も楽しい気分になります。
2 「身土不二(しんどふじ)」
人間は自然の中の一部であり、自然環境の中で生かされています。その土地に生きる生物は、その土地で得られる食物を食べることで、その地で生きるための適応力を身につけているという法則が、この「身土不二」です。また、住んでいる土地、地域に身近な産物を大切にするという、「地産地消」を勧める言葉でもあります。
3 「旬」のものを食べる
旬の野菜や山菜にはパワーがあります。旬の時季にはどの野菜も最もエネルギーを蓄えているので、その季節に人間が一番必要とする栄養素や元気をもらうことができるのです。たとえば冬の根菜類は体を温め、夏の瓜類は熱を冷ます効果が。また、旬の野菜はその季節だけでなく、次の季節に合う体をつくります。
4 「一物全体(いちもつぜんたい)」
精進料理の調味料は控えめです。天地の恵みである農産物を大切にし、その素材の持ち味を十分に生かすことが、調理の基本だからです。また、野菜などは丸ごとすべてを使い切ります。命あったものを大事にして粗末にしない考えの根本は、殺生しないことと関連しており、何ひとつ、むだにしないことにつながります。
5 追いかけて逃げるものは食べない
精進料理では、魚も肉も口にしません。何を食べ、何を食べないのか。その簡単な見分け方のひとつが、「追いかけて逃げるものは食べない」です。動物不殺生は、精進料理の基本中の基本。そのこともあり、精進料理のだしにはかつお節が使われることはなく、昆布としいたけなどのきのこが使われているのです。
<料理/藤井小牧 撮影/川村 隆 取材・文/福山雅美>
藤井小牧(ふじい・こまき)
東京・秋葉原にある「カフェ風精進料理 こまきしょくどう」店主。臨済宗僧侶であり、精進料理家としても知られる藤井宗哲氏と、精進料理家の藤井まり氏との間に生まれ、幼いころより精進料理とともに育つ。現在はお店に立つかたわら、東京の生産者・加工業者を応援する活動「メイドイン東京の会」にも参加している。2020年3月に『こまき食堂』(扶桑社)が発売。
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こまきしょくどう
東京都千代田区神田練塀町8-2
TEL.03-5577-5358