![画像: 「おとうさん」が活躍する絵本3冊|ずっと絵本と。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/06/08/a7259334f8a4b33c0543dc345bc49c211ae17a31.jpg)
今月は父の日がありますので、「おとうさん」が登場する絵本を選びました。母の日より注目度が低い気がしますが、絵本では、おとうさんたち、活躍していますよ!
『パパ、お月さまとって!』(エリック=カールさく もりひさしやく 偕成社)
![画像: お月さまに、はしごがかけられていますよ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/06/08/71469c9938c76ffa316c82347a99a58a73c92ee2.jpg)
お月さまに、はしごがかけられていますよ。
この絵本は、『はらぺこあおむし』などで有名な作者が、「パパ、あのお月さまとって!」と娘さんに実際に言われたことから、誕生したといいます。
![画像: のびやかな貼り絵が、お話への期待を高めます。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/06/08/1e5753974431646085a61f5fd90734e410c8c146.jpg)
のびやかな貼り絵が、お話への期待を高めます。
お月さまと遊びたい娘のために、月をとろうと、おとうさんは長い長いはしごを高い高い山へ運びます。
するとお月さまが……。
![画像: お話の内容に合わせて、文字の大きさも変わっています。こういうデザインを見るのも、絵本の楽しみ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/06/08/58e8cf4b93578600d69fa748d201b65e58b9798e.jpg)
お話の内容に合わせて、文字の大きさも変わっています。こういうデザインを見るのも、絵本の楽しみ。
手が届きそうなくらい近くに見える月も、じつは遠く遠くにあるということや、月は満ち欠けをくり返すという月の不思議が、左右上下に広がるページを使ったユニークなアイディアで、わかりやすく伝わってきます。
なにより、子どもの希望を叶えようとするおとうさんの愛情が、伝わってくる絵本です。
『きんようびはいつも』(ダン・ヤッカリーノ作 青山南訳 ほるぷ出版)*現在絶版
![画像: 手をつないだ親子。金曜日には何をするのでしょう。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/06/08/7f173ab26846eaa93ffa84dd1d4fd3823de81b11.jpg)
手をつないだ親子。金曜日には何をするのでしょう。
「きんようびは、だいすきだ。」
「きんようびは、いつも、パパといっしょに うちをはやくでるんだ。」
という、なんともわくわくするセリフで、この絵本ははじまります。
![画像: 1年中、どんな日にも、金曜日にはおとうさんと出かけます。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/06/08/d01fb41c8a8630949fdfda7513c4373c6e1300e7.jpg)
1年中、どんな日にも、金曜日にはおとうさんと出かけます。
金曜日は、お店が開くのや、ビルが建つのを見ながら、おとうさんと街を歩きます。
そして、食堂へ行き、ホットケーキの朝ごはんを食べるのが、ふたりの習慣。
外を見ると、みんな急いでいるけれど、気にせず、ゆっくりと、いろいろなことをおしゃべりできる時間は最高です。
![画像: 馴染みの店だということが、店員さんの様子からも伝わってきます。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/06/08/6b362ef953fbe52c31588c3c3bcf8a4bd3876efb.jpg)
馴染みの店だということが、店員さんの様子からも伝わってきます。
この絵本も、息子さんが3歳のときから続けている、作者の実体験を元に、作られました。
ここ数ヶ月、家で過ごす時間が増えたと思います。絵本の親子のように、お子さんと新しい習慣ができたご家族も、多いのではないでしょうか。
これからまた忙しい日常がやってきても、大好きで楽しみにできる時間を大切にしたいですね!
『ライオンのよいいちにち』(あべ弘士 佼成出版社)
![画像: のんびり、ゆったりかまえたライオンのおとうさんが主人公。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/06/08/8b79d24520eb3e6dd0348ce6f49a66cc0057cc1f.jpg)
のんびり、ゆったりかまえたライオンのおとうさんが主人公。
ライオンのおとうさんが、子どもたちと散歩に出かけました。すると、イボイノシシが声をかけてきました。
「おこさんつれて うらやましいわ。うちの おとうちゃん、こどもたちなんて ほったらかしよ」
ライオンのおとうさんは思います。
(わしは、こどもと さんぽするのが すきなだけだ。よけいなおせわなのだ)
![画像: 壮大な景色の中、悠々と歩くライオンの親子。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/06/08/c4dbc82e0372acec08461576851b85e714b093a9.jpg)
壮大な景色の中、悠々と歩くライオンの親子。
散歩をしていると、ヒョウから、ゾウから、みんなに感心されますが、
(わしは、こうしているのが いいのだ)
(わしは、ふつうに しているだけだ)
と、ライオンのおとうさん。
これって、すごくいい態度だと思いませんか。ライオンのおとうさんを見習ってほしい人間のおとうさん、いる気がします。
![画像: ゾウの大きさったら!](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/06/08/a160693f1b87ffaa8b6ed6905789934b5e6c0881.jpg)
ゾウの大きさったら!
ライオンはメスが狩をして、そのあいだオスが子守をすることが、よくあるようです。
作者のあべ弘士さんは、旭山動物園の飼育係でしたから、動物たちに、くわしいんです。
特徴を捉えたダイナミックな絵、習性をうかがい知れる動物たちのやりとりも、魅力的。
ラスト、メスが遠くでシマウマを追う様子を見ながら
「いつも いつも ごくろうさんです。」
とオスライオン。
この気負いのなさ!
忙しすぎるおとうさんには、この絵本を読んで、ライオンのよい1日に想いを馳せてもらえたら、そして少しゆっくりできるといいなぁ、と思いますよ。
![画像: 『ライオンのよいいちにち』(あべ弘士 佼成出版社)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/06/08/8b62699aae00fda298aeff47a2677e85785243ed.jpg)
長谷川未緒(はせがわ・みお)
東京外国語大学卒。出版社で絵本の編集などを経て、フリーランスに。暮らしまわりの雑誌、書籍、児童書の編集・執筆などを手がける。リトルプレス[UCAUCA]の編集も。ともに暮らす2匹の猫のおなかに、もふっと顔をうずめるのが好き。
<撮影/神ノ川智早(プロフィール写真)>