• 『天然生活』4月号でチェコ人の父のルーツにまつわる「受け継いできたもの」をご紹介いただいた、料理家のワインあけびさんに、父・イエルカさんの器についてお話を伺いました。

    父・イエルカワインさん作の器

    画像1: 父・イエルカワインさん作の器

    ここにある器はすべて父が作った物です。そのほとんどが私がまだヨーロッパにいたころ、一年に一度日本に帰省するたびに実家の食器棚から気に入った器を持ち帰らせてもらっていたものです。

    その当時は、まだ父がばりばりと陶芸をしていて、彼の作品だけではなく彼の師匠である先生の作品や、父が物々交換してきた同じ師匠のお弟子さんたちの器もありました。

    そうした器たちで食器棚が充実していたので、毎回選ばせてもらうのがとても楽しかったです。

    一度私と一緒に海を渡ってから一緒に日本に戻った器も、両親が海外にいる私に送ってくれた器もあります。

    父が集中して焼き物を作っていたのは正味8年くらいですが、吸収が早く好奇心旺盛な父の作風はドラマチックなくらいどんどん変わって進化を遂げて行き、毎回その変化を見るのも楽しみでした。

    三角形のバター入れ(おそらく?)は最初、なんと洗いにくそうなんだ! と思ったものの、なんだか愛らしく思えて手元に置いています。

    まだ使ったことが無いけれど、アクセサリーなどの小物入れには良さそうと最近思えてきました。まあいつか何かを入れる日が来るのでしょう。

    彼の作品の中では比較的ポップな黄色い斑入りのボールには、とくにお世話になっています。こちらはパリにいたときに送ってくれたもの。

    何を入れても映えるし、サイズ感がちょうど良くて、具がゴロゴロ入った豚汁を入れたり玄米ご飯ののっけご飯を入れたり、スープをたっぷりと盛りつけたりと、私の普段の食事にもう8年近く大活躍しています。お茶漬けにも最高です。

    一方で、リンゴが乗っているさりげないお皿は、造形の魅力が分かるのに10年近くかかりました。

    以前、「あけびがお店をを開いたら皿は私が」と言ってくれていた父。そのオファーが時効でないことを願うばかりです。

    今の父の作風がどうなるのか想像できないけれど、彼がまた焼き物を作る日を楽しみにしています。

     

    ※ワインあけびさんの「家族から受け継いだもの」は、『天然生活』2021年4月号の66-67ページに掲載しています。



    〈料理/ワインあけび 撮影/在本彌生 取材・文/玉木美企子〉

    画像2: 父・イエルカワインさん作の器

    わいん・あけび/料理
    料理家。長野県生まれ、長野県育ち。フランスとイタリアで15年暮らしたのち、2019年日本で活動を開始。
    インスタグラム:@akebiwe

    在本彌生(ありもと・やよい)/撮影
    東京生まれ。外資系航空会社で乗務員として勤務するなかで写真と出会い、2006年より本格的に活動を開始。著作に『私の獣たち』(青幻舎)など。『CALICOのインド手仕事布案内』 amazonで見る では写真を担当している。



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