• 認知症、うつ、やる気がの低下、イライラ……あらゆる不調の悩みを「ウォーキング」で予防・改善してみませんか? これまで1万人以上の脳画像をみてきた脳内科医・加藤俊徳さんが、‟歩くことが最強の脳トレーニングになる”理由を脳科学の観点から解説。長年実践しているウォーキング方法の中から「しりとり・ウォーキング」を紹介します。
    (『最強のウォーキング脳』より)

    集中力アップ&イライラ解消「しりとり・ウォーキング」

    息子とのウォーキング中、よく行っているのが「しりとり」です。一人で歩くときは、頭の中で一人しりとりをすることもあります。しりとりを始めてから、確実に記憶力がアップしました。しりとりにもバリエーションがあり、例えば「偉人しりとり」をすることがあります。

    「夏目漱石」「キング牧師」「シェイクスピア」……という具合に、偉人の名前でしりとりをするのですが、時に全く名前が浮かんでこないことがあります。5分、10分と時間がかかることもあります。

    しかし、時間がかかることは脳にとっては悪いことではありません。大切なのは、歩きながら考えることだからです。

    画像: 集中力アップ&イライラ解消「しりとり・ウォーキング」

    その間もウォーキングをしているのですから、脳全体は刺激されています。そこに、さまざまな脳番地を駆使して答えを出そうとします。余計なことを考えずに済むので、ストレスを解消する効果もあります。

    そして、誰かとしりとりをすることで、コミュニケーションも生まれます。私は、しりとり・ウォーキングをよく一緒にしている大学生の息子が考えていることが以前よりもわかるようになりました。

    そういった意味では、しりとりウォーキングをきっかけとして、相手との距離感を縮める効果もあります。

    あらゆる不調の悩みは運動脳から解決する

    人間の脳は場所によって果たす役割が異なり、私はこれらの場所を「脳番地」と呼んでいます。脳番地は主に運動系・感情系・視覚系・思考系・聴覚系・理解系・伝達系・記憶系の8つの系統に分けることができます

    これらの脳番地で起こるトラブルが、さまざまな不調として現れます。

    物忘れが多いのなら理解系や記憶系の脳番地、怒りを抑えられないのなら感情系脳番地に問題があるのかもしれません。その中でも各脳番地と密接な関係をもち、影響を与える重要な脳番地が運動系脳番地=運動脳です。

    ウォーキングは、この運動脳にスイッチを入れ、脳全体を鍛えることができる最も簡単かつ効果的な方法なのです。

    運動脳はここにある!

    画像: 歩き出す際には前頭葉(太線内)が働く。運動脳は、前頭葉にあり、カチューシャのように脳の左右にかかっている(色のついた部分)

    歩き出す際には前頭葉(太線内)が働く。運動脳は、前頭葉にあり、カチューシャのように脳の左右にかかっている(色のついた部分)

    ウォーキングは睡眠の質を上げる!

    もうひとつみなさんに知っておいてほしいのは、日中に現れる不調の原因は夜の活動性(夜活)にもあるということです。

    たとえば睡眠時無呼吸症候群の人は、強い眠気で日中の活動が思うようにできません。男性の約7割、女性の約5割が睡眠時無呼吸を起こしているともいわれています。

    寝ている間に呼吸が止まるのは危険なことです。睡眠ポリグラフ検査で1時間に約20回以上、または簡易検査で1時間に40回以上の無呼吸・低酸素が認められれば、中等度以上と診断されて、治療が保険適用となります。

    しかし本来、1時間に15秒以上の無呼吸が2~3回起こるだけでも酸素飽和度は90%以下となり、脳によくないわけです。呼吸が止まれば、当然ながら熟睡できませんし、眠りの質が低下します。

    保険適用されないこれらの症状がある方におすすめするのが、やはりウォーキングです。

    ウォーキングこそが不調や睡眠トラブルを改善し、充実した日々を過ごすための「最強の脳トレ」であると気付いていただけると思います。

    〈イラスト/モヤマチカコ(脳)、柏原昇店(ウォーキング)〉

    本記事は『最強のウォーキング脳』(時事通信出版局)からの抜粋です



    加藤俊徳(かとう・としのり)

    脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。MRI脳画像診断、発達障害・ADHDの診断・治療の専門家であり、脳番地トレーニングの提唱者。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。「加藤プラチナクリニック」を開設し、独自開発した加藤式脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。薬だけに頼らない治療の一環としてウォーキングを推奨するようになる。InterFM897「脳活性ラジオ Dr. 加藤 脳の学校」のパーソナリティーを務める。著書に『ADHDコンプレックスのための脳番地トレーニング』(大和出版)、『脳とココロのしくみ入門』(朝日新聞出版社)、『すごい左利き』(ダイヤモンド社)、『最強のウォーキング脳』(時事通信出版局)など多数。

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    1万人以上の脳画像をみた脳内科医・加藤俊徳さんが、クリニックを訪れる患者さん達にすすめ、自らも長年実践してきたウォーキング法や、ウォーキングが脳に与える効果を分かりやすくまとめた1冊です。

    ウォーキングをすると、脳にどのように影響するのか? 歩かないことで脳に起こるリスク「運動負債」とは? 仕事に集中できない、モヤモヤする、うつ、ADHD、イライラ、認知症……さまざまな悩みを抱える患者さんにも、ウォーキングをすすめる理由とは。

    「最近歩く時間が減った」という方にも、「心身の健康のために効果的なウォーキング法を知りたい」という方にもおすすめしたいノウハウが詰まっています。



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