(『暮らしの図鑑 木のもの』より)
木のある暮らし
作った人の想いやものにまつわる時間を大切に
緑豊かな秩父の工房で、暮らしに潤いを添えるうつわやカトラリーを製作されている木工作家のうださん。
その素敵な作品を生み出す暮らしもまた魅力的です。

あたたかな人柄が感じられる、うださんの作品。上の模様入りのお皿は、オリジナルのモン皿

自宅の敷地内にある工房からは、お子さんが庭で遊ぶ様子も見える
「木に触れ、自作のものを使って暮らすうち、どんどん木と親しくなりました」と話すうださん。
結婚、古民家への移住、ふたりのお子さんの誕生。そんな家族との暮らしには、いつも木のものがありました。

家族でくつろぐリビングは、月2回ほどギャラリーとしてもOPEN。杉のフローリングは奥様とふたりで仕上げたもの
「古い家に手を入れながら暮らしています。リビングの床には杉でフローリングを張りました。庭に植物を植えたり、ウッドデッキを作ったり。家具や食器棚は古道具を使っています」

いただきもののすいかを自作のカトラリー&ボードで

土間の台所もお気に入り。カッティングボードなど木のものは吊るして収納
〈撮影/金田幸三〉
そんな工房兼住居は、月に2回ほどギャラリーとしてもオープン。
たくさんの人達が集まり、楽しい時間を共有します。うださんの手で生み出される木のものが、人と人との関係も作り出します。

クリスマスのオーナメントも手作りの木製品

右上はフタゴ皿、フレームトレイ、カトラリーと食卓に楽しさを添えるオリジナルの品々
「木のものはツヤが出たり風合いが変わったり、壊れてもちょっと手を加えるとまた使えるのもいいところ。リペアした長男のスプーンを見て、短くなったね、昔は噛んでいたね、と話すことで時間を感じます。
そうしたことを大切に、ひとつひとつ噛みしめるように暮らしていきたい。ものや食べ物を作った人、育てた人を想い、ものにまつわる時間を感じる。そんなことを子どもたちにも伝えていきたいですね」

作品の素材はサクラ、クルミ、クリなどが多い

お子さんと一緒の庭作りは毎日の楽しみであり、癒し
本記事は『暮らしの図鑑 木のもの』(翔泳社)からの抜粋です

うだまさし
木工作家。高校時代に家具・デザインと出会い、大道具会社や家具工房を経て2011年秋より「monom(モノム)」として家具と小物の製作をスタート。埼玉県秩父郡皆野町に工房を構え、敷地内の古民家に家族4人で暮らす。
インスタグラム:@uda_masashi
webサイト:https://shima.themedia.jp
◇ ◇ ◇
「古くから私たちの暮らしに欠かせない存在である「木」。木のうつわやカトラリーをはじめ、無垢材のフローリングや椅子などの家具木の玩具にアクセサリーなど、暮らしにぬくもりや楽しみを与えてくれる存在です。
そんな「木のもの」をテーマに、暮らしへの取り入れ方や使い方・選び方のコツはもちろん、現代の暮らしにフィットする作品を生み出している木工作家さんやブランドの紹介、さらには木材への理解を深める基礎知識を1冊にまとめました。