• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、11月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる発酵食品が注目されています。おうちで過ごす時間が増え、保存食づくりを始める人も。今回紹介するのは、「干し柿」です。

    柿の薬膳的効能ついて

    薬膳では、柿は肺の乾きをいやして、咳を止める働きがあるとされるため、乾燥しやすい秋冬にぴったりの食材です。

    生のままでは体を冷やす「寒性」の性質ですが、干すと穏やかになるので、冷え性の方でも食べやすくなります。

    寒性の働きにより、熱を下げたり、口内炎の炎症を鎮めたり、二日酔いなどの改善にも役立つとされます。

    【保存食】干し柿のつくり方

    画像: 【保存食】干し柿のつくり方

    毎年100個以上つくっている干し柿。私はそのまま食べるよりも、あんこをつくるときの砂糖の代わりに使ったり、お正月のおせちに加えたり、あえものにしたりと、料理に使うことが多いです。

    本来は軒先に吊るして寒風に当てて乾かしますが、わが家には野生のリスが食べに来るので、縁側を利用して干しています。リスは、渋が抜けて、ちょうど食べごろのときにやって来るので、野生の勘には驚かされます。

    干してから2週間後にもんで種と実を離すようにするとやわらかくなり、渋も早く抜けます。

    干し加減はお好みですが、私は固露(ころ)柿と呼ばれるしっかり干し上がったものが好きです。実は小さく縮みますが、その分甘味が凝縮して料理に使いやすくなります。

    表面の白い粉は糖分が結晶化したもの。寒い地方では自然に粉をふきますが、暖かな湘南地域ではなかなかうまくいかないので、好みのかたさに干し上がったら密閉袋に入れて冷蔵庫に。人工的に寒さに当てることで白い結晶を生み出します。

    材料(好みの量)

    ●渋柿(または甘柿)好みの量
    ●60〜70cmの紐柿の半分の本数

    つくり方

     柿はへたの周りを少し残して皮をむく。

    画像: 干す時に紐が結びやすいよう、枝は少し残しておく。皮はヘタの下からむく

    干す時に紐が結びやすいよう、枝は少し残しておく。皮はヘタの下からむく

     柿2個で1組になるように、柿の枝に紐の両端を結ぶ。カビが生えるのを防ぐために、グツグツ沸騰した湯に柿を10秒ほどつけて、熱湯消毒をする。

     日当たりと風通しがよく、雨の当たらない軒下などで干す。

    画像: 柿が重なると乾きにくくカビやすいので、間隔をあけながら上下に柿をずらす

    柿が重なると乾きにくくカビやすいので、間隔をあけながら上下に柿をずらす

     2週間後によくもむ。好みのかたさになったら、清潔な密閉袋に入れて冷蔵庫で保存すると、白い粉をふく。

    ※冷蔵庫で1年以上保存可能。
    ※干しあがりまでのタイミングは地域によって異なりますが、湘南地域だと3週間から1カ月ぐらいでやわらかめの仕上がりに。固い固露柿が好みなら2カ月ぐらい干しても。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『季節のお漬けもの』、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)などがある。

    インスタグラム:@nami_yamada.tabegoto
    YouTube:「山田奈美の発酵暮らし」



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