柿の薬膳的効能ついて
薬膳では、柿は肺の乾きをいやして、咳を止める働きがあるとされるため、乾燥しやすい秋冬にぴったりの食材です。
生のままでは体を冷やす「寒性」の性質ですが、干すと穏やかになるので、冷え性の方でも食べやすくなります。
寒性の働きにより、熱を下げたり、口内炎の炎症を鎮めたり、二日酔いなどの改善にも役立つとされます。
【保存食】干し柿のつくり方
毎年100個以上つくっている干し柿。私はそのまま食べるよりも、あんこをつくるときの砂糖の代わりに使ったり、お正月のおせちに加えたり、あえものにしたりと、料理に使うことが多いです。
本来は軒先に吊るして寒風に当てて乾かしますが、わが家には野生のリスが食べに来るので、縁側を利用して干しています。リスは、渋が抜けて、ちょうど食べごろのときにやって来るので、野生の勘には驚かされます。
干してから2週間後にもんで種と実を離すようにするとやわらかくなり、渋も早く抜けます。
干し加減はお好みですが、私は固露(ころ)柿と呼ばれるしっかり干し上がったものが好きです。実は小さく縮みますが、その分甘味が凝縮して料理に使いやすくなります。
表面の白い粉は糖分が結晶化したもの。寒い地方では自然に粉をふきますが、暖かな湘南地域ではなかなかうまくいかないので、好みのかたさに干し上がったら密閉袋に入れて冷蔵庫に。人工的に寒さに当てることで白い結晶を生み出します。
材料(好みの量)
●渋柿(または甘柿) | 好みの量 |
●60〜70cmの紐 | 柿の半分の本数 |
つくり方
1 柿はへたの周りを少し残して皮をむく。
2 柿2個で1組になるように、柿の枝に紐の両端を結ぶ。カビが生えるのを防ぐために、グツグツ沸騰した湯に柿を10秒ほどつけて、熱湯消毒をする。
3 日当たりと風通しがよく、雨の当たらない軒下などで干す。
4 2週間後によくもむ。好みのかたさになったら、清潔な密閉袋に入れて冷蔵庫で保存すると、白い粉をふく。
※冷蔵庫で1年以上保存可能。
※干しあがりまでのタイミングは地域によって異なりますが、湘南地域だと3週間から1カ月ぐらいでやわらかめの仕上がりに。固い固露柿が好みなら2カ月ぐらい干しても。
〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉
山田奈美(やまだ・なみ)
「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『季節のお漬けもの』、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)などがある。
インスタグラム:@nami_yamada.tabegoto
YouTube:「山田奈美の発酵暮らし」