大根の薬膳的効能ついて
消化を促進する酵素を含む大根は、薬膳でも消化不良、胃もたれなどに有効な食材とされます。
また、痰の多い咳を改善したり、本来、上半身から下半身へめぐる気が逆流して生じた吐き気や胸焼け、のぼせなどを抑えたりといった効果も期待できます。
たくあんにすると乳酸菌と大根の辛味成分が反応して、黄色い色素ができます。
この黄色い色素は抗酸化作用が高く、さまざまな生活習慣病を予防したり、悪玉コレステロールが血管に付着するのを防いだりする作用があります。
さらに、発酵したたくあんの中には1g中に10億個もの乳酸菌が生息するといわれ、腸内環境を整えるのに役立ちます。
【発酵料理】たくあん漬けのつくり方
たくあんは、干した大根をぬかと塩に漬けて乳酸発酵させた、冬ならではの発酵食品です。
わが家では、毎年お正月明けに100本の大根を掘りに行き、大きな樽に漬け込んでいますが、ごはんのお供に、お弁当に、お酒のおつまみやお茶請けにと、子どもからお年寄りにまで大好評です。
一般的な市販のたくあんは砂糖で甘味を補ったり、黄色くするために着色料を使ったりすることが多いのですが、本来のたくあんは甘味も色味も自然のもの。
大根を2週間ほど干して寒風にさらすことで、水分が抜けてでん粉が糖化し、甘味もうま味もぐっと増しますし、大根の辛味成分と乳酸菌が反応して、黄色い色素成分も生まれます。砂糖も着色料も不要なのです。
干してぬかに漬けるだけと、とってもシンプルな漬物ですから、ぜひ本物のたくあんを手づくりしてみてください。
材料(つくりやすい分量)
●大根(あれば練馬大根) | 4本 |
●昆布5cm角 | 2枚 |
●赤とうがらし | 2本 |
●干した果物の皮(柿、りんご、みかんなど) | ふたつかみ程度 |
●ぬか | 干した大根の重量の15% |
●塩 | 干した大根の重量の5% |
つくり方
1 大根は洗って、葉の中心にある芯葉(しんよう)を取り除く。
2 2本1組にして葉を紐で縛る。雨露が当たらない風通しのよい軒下などに2週間ほど干す。
3 大根がへの字やUの字に曲がるようになったら、干しあがり。長く保存したい場合は、より長く干して水分を飛ばす。
4 昆布は細切りに、赤とうがらしは種を取ってちぎる。果物の皮はキッチンバサミなどでざく切りにする。
5 ボウルにぬかと塩、4を加えてよく混ぜ合わせる。
6 清潔な漬物用容器に5をひとつかみ入れて底に敷く。葉を切り落とした大根を保存容器の形に添わせながら、できるだけ隙間をつくらないよう詰める。1段詰めたら、大根が隠れるくらい5を入れる。残りの大根も同様に詰める。
7 一番上に5をたっぷりかぶせ、ぬかが表面に出ないように切り落とした大根の葉で覆う。干した大根の重量の3倍の重石をのせ、容器のふたをして3週間〜1カ月ほど冷暗所に置く。
※漬け床から出したら清潔な密閉袋などに入れて、冷蔵庫で2〜3週間保存可能。
〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉
山田奈美(やまだ・なみ)
「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)、『季節のお漬けもの』、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)などがある。
インスタグラム:@nami_yamada.tabegoto
YouTube:「山田奈美の発酵暮らし」