• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、1月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる発酵食品が注目されています。おうちで過ごす時間が増え、保存食づくりを始める人も。今回紹介するのは、「べったら漬け」です。

    大根の薬膳的効能ついて

    栄養学でも、消化を助ける消化酵素が豊富で、消化を促進する作用があると認められている大根。

    二日酔いなどの胸焼けや胃もたれを防ぐのに効果的です。

    大根の辛み成分はイソチオシアネートと呼ばれるもので、抗菌作用や血液をさらさらにする作用があるとされます。

    漬け床となる甘酒は、薬膳では体を温め、血のめぐりをよくし、生命エネルギーである気を補って元気にする食品とされます。

    【発酵料理】べったら漬けのつくり方

    画像: 【発酵料理】べったら漬けのつくり方

    江戸生まれの発酵食品、べったら漬け。白い麹をまとった大根は雪のように美しく、カリカリとした歯応えとまったりとした甘さが魅力の、冬においしい漬物です。

    ただ、本格的なものだと下漬けに4〜5日ほどかかり、その後、塩抜きしてさらに天日に干して本漬け……と、なかなか手間も時間もかかります。白く仕上げるためには白砂糖もたっぷりと使います。

    より手軽に、でもしっかり発酵させたべったらに仕上げるために、私は砂糖ではなく甘酒で仕込むようにしています。

    少ない塩で下漬けも短時間ですみますし、甘すぎないのでさっぱりいただけておすすめですよ。

    材料(つくりやすい分量)

    ●大根500g
    ●下漬け用の塩20g(大根の重量の4%)
    ●甘酒適量
    ●塩ひとつまみ
    ●赤とうがらし1本
    ●昆布5cm角1枚

    つくり方

     大根は皮ごと縦半分に切る。皮はむかないほうが食感がいいけれど、好みでむいても。赤とうがらしは種をとって小口切りに、昆布は細切りにする。

     ポリ袋などにの大根を入れて、下漬け用の塩を全体にまぶし、袋の空気を抜いて口を閉じる。大根の重量の2倍の重石をのせ、2〜3日下漬けする。

    画像: 水があふれ出ないように、ポリ袋はボウルなどに入れて重石をのせる。ポリ袋の口は縛らず、ねじる程度でよい。ねじった根元に重石をのせる

    水があふれ出ないように、ポリ袋はボウルなどに入れて重石をのせる。ポリ袋の口は縛らず、ねじる程度でよい。ねじった根元に重石をのせる

     大根から出た水分を捨て、水けをしっかりふき取る。

     清潔な漬物用容器にと赤とうがらし、昆布を加え、大根がかぶるぐらい甘酒を注ぎ、塩をふる。ラップなどで表面を覆い、ラップが浮かない程度の軽い重石をのせて、冷暗所で保存する。ひと晩おいたら食べられるが、3〜4日後が食べごろ。どんどん酸味が出てくるので、好みの味になったら冷蔵庫に移す。

    画像: 甘酒が空気に触れていると酵母菌などが繁殖しやすいので、表面をラップなどで覆う

    甘酒が空気に触れていると酵母菌などが繁殖しやすいので、表面をラップなどで覆う

    ※冷蔵庫で約3週間保存可能。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『季節のお漬けもの』、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)などがある。



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