• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、6月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。発酵料理は腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる食べ物として注目されています。物価の上昇が続くいま、お手ごろ価格の「旬」の食材をつかった保存食づくりを始める人も。栄養価が高いだけでなく、たくさん買ってもむだなく使いきれ、節約につながるのも魅力です。今回紹介するのは、「らっきょうの塩漬け」です。

    らっきょうの薬膳的効能ついて

    らっきょうは、薤白(がいはく)という生薬であり、日本でも畑の薬といわれ、古くから薬用として利用されてきました。

    体を温める働きが強く、冷えによるトラブルや、消化不良、胃の不快感などを改善する作用があるとされています。

    気や血のめぐりをよくし、鬱々した気分を晴らしたり、血液をサラサラにしたりする効果も期待できます。

    【発酵料理】らっきょうの塩漬けのつくり方

    画像: 【発酵料理】らっきょうの塩漬けのつくり方

    6月になると、生のらっきょうが出回ります。旬のとても短い野菜ですが、この時季に見逃さずに漬けておけば、1年間はおいしくいただけます。

    緑の芽が出過ぎていない、泥つきのものを選びましょう。置いておくとどんどん芽が伸びてしまうので、手に入れたらすぐに漬けるようにしてください。

    今回はシンプルに塩だけで漬ける塩漬けをご紹介します。塩漬けらっきょうは、塩抜きしてそのままポリポリ食べられますし、かつおの削り節やしょうゆをつけても美味。タルタルソースにしたり豚肉と一緒に炒めたり、天ぷらの衣をつけて揚げ物にするのもおすすめです。

    塩漬けしたあとで、定番の甘酢漬けにしたり、酢じょうゆや赤梅酢に漬けたりと、ほかの漬物にもいろいろ展開できて便利です。

    材料(つくりやすい分量)

    ● 生らっきょう1kg
    ● 水300mL
    ● 塩約90g(根や皮を取り除いたらっきょうの重量の10%)

    つくり方

     大きめのボウルにたっぷり水を入れ、らっきょうを1粒づつばらしながらこすり洗いをして泥を落とす。薄皮までむけると後の作業が楽に。

     ざるにあげて水気をよくきり、根と茎の先のかたい部分を切り落とす。外側の薄皮が残っていたら1枚むく。傷んでいたらもう1枚皮をむく。

    画像: 根はつけ根ぎりぎりのところを、先端は芽が出てかたくなった部分を切り落とす。少し浮いてかたいのが外側の薄皮。そのまま漬けるとおいしくないので取り除く

    根はつけ根ぎりぎりのところを、先端は芽が出てかたくなった部分を切り落とす。少し浮いてかたいのが外側の薄皮。そのまま漬けるとおいしくないので取り除く

     鍋に水と塩を入れて沸かし、塩が溶けたら火を止めて冷ます。

     熱湯消毒した容器にを入れ、を注いでふたをし、冷暗所に置く。2週間ほどおいたら食べられる。たっぷりの水に2〜3時間漬け、塩抜きをしてから食べるとよい。

    画像: 1〜2日で水が上がり始める。ときどき瓶を振りながら1週間程度でらっきょう全体がつかっているか確認し、なかなか上がらない場合は、6%濃度の塩水を追加する。ぷくぷくと泡が立って乳酸発酵してきたら、ときどきふたを開けてガス抜きする

    1〜2日で水が上がり始める。ときどき瓶を振りながら1週間程度でらっきょう全体がつかっているか確認し、なかなか上がらない場合は、6%濃度の塩水を追加する。ぷくぷくと泡が立って乳酸発酵してきたら、ときどきふたを開けてガス抜きする

    ※冷暗所で約1年保存可能。
    ※塩抜きをしてから酢(塩漬けらっきょうの重量と同量)、はちみつ(塩漬けらっきょうの重量の25%)、赤唐辛子(1/2本程度)を加えた甘酢につければ、定番の甘酢漬けに。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『いつもの食材と調味料で 体が整うごはん』(ナツメ社)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などがある。



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