なすの薬膳的効能ついて
なすは体の熱を冷まし、血の巡りをよくしたり、むくみを取ったりする働きがあります。
赤じそは、抗菌作用や食欲増進作用、また花粉症などを抑える抗アレルギー作用などがあるとされます。また、なすも赤じそも抗酸化作用が高く、夏の暑い紫外線から体を守るのに最適です。
さらに、発酵させたしば漬けには、植物性乳酸菌のなかでもずば抜けて力の強い「プロテクト乳酸菌」が含まれます。
これは京都の「しば漬け」から発見されたもので、一般的な乳酸菌に比べて群を抜いて細胞壁が厚く、胃酸に負けずに腸まで届き、腸内環境の改善に役立つとされます。また、免疫細胞を活性化し、ウイルス性疾患の発症を抑えるという実験結果も出ています。
【発酵食】しば漬けのつくり方
毎年、なすと赤じそが出そろうタイミングを待ってつくるのがしば漬け。夏の暑さを乗り切るのにぴったりな、酸味の効いた発酵食品です。
現在は、なすやきゅうり、みょうがなどを着色料や赤梅酢などを使った調味液に漬けたものが主流となっていますが、本来はなすと赤じその葉、塩だけで乳酸発酵させた、京都大原発祥の伝統的な発酵漬物です。
なすの色素であるナスニンと赤じそのシソニンが酸によって反応し、自然に鮮やかな赤紫色に染まるのが本当に美しくて神秘的! 色は薄くなりますが、お好みでみょうがやきゅうりなどを加えてアレンジしてもいいでしょう。
乳酸菌や赤じその殺菌作用で長期保存も可能です。1年後のしば漬けは、それは酸っぱいものですが、冷蔵庫の中で、どんどん酸味が増して変化していくのを味わうのも乙なものですよ。
材料(つくりやすい分量)
● なす | 4本(約350g) |
● 赤じそ(葉のみ) | 70g(なすの重量の20%) |
● 塩 | 21g(なすの重量の6%) |
つくり方
1 赤じそは洗ってざるに広げ、水気をしっかりきっておく。なすはヘタを取って5mm厚さの縦薄切りにする。
2 保存容器に大きめのポリ袋を入れ、塩半量のうち少しを薄く振り入れ、なすを重ならないように並べる。
3 なすの上に塩をふり、赤じそを重ねる。同じように、塩、なす、塩、赤じその順に5段ぐらい重ね、一番上は赤じそと塩で覆う。
4 袋の中の空気をしっかり押し出してから袋の口をねじって閉じる。
5 なすの重さと同程度の重しをのせて冷暗所におく。
6 翌日、暗褐色の液体が上がってきたら汁気をきる。
7 残りの塩をすべて加えて袋の上から軽くもみ、中の空気をしっかり押し出して袋の口をねじって閉じる。再び重しをし、そのまま2週間ほど常温におく。
8 2週間ほどで酸味が出て好みの味になったら、煮沸消毒した密閉性の高い保存容器に移し替え、冷蔵庫で保存する。2週間ほどで食べられる。
※冷蔵庫で1年保存可能。
〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉
山田奈美(やまだ・なみ)
「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『いつもの食材と調味料で 体が整うごはん』(ナツメ社)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などがある。
インスタグラム:@nami_yamada.tabegoto
YouTube:「山田奈美の発酵暮らし」