• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、9~10月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。発酵料理は腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる食べ物として注目されています。物価の上昇が続くいま、お手ごろ価格の「旬」の食材をつかった保存食づくりを始める人も。栄養価が高いだけでなく、たくさん買ってもむだなく使いきれ、節約につながるのも魅力です。今回紹介するのは、「はちみつジンジャーシロップ」です。

    しょうがの薬膳的効能ついて

    生のしょうがに含まれるジンゲロールという辛味成分は、肉や魚の臭みを取ったり、殺菌解毒、血流を促進したりする作用があるとされます。

    体の表面や手足の先端を温めて発汗を促し、風邪のひきはじめや咳に有効です。

    さわやかな香りは、胃の働きを整えて消化を高め、食欲不振や吐き気、むかつきを改善する作用もあります。

    しょうがを加熱すると、ジンゲロールがショウガオールに変わり、体の芯から温めて持続する働きがあり、冷え性改善に最適です。

    【保存食】はちみつジンジャーシロップのつくり方

    画像: 【保存食】はちみつジンジャーシロップのつくり方

    辛味が穏やかで、さわやかな香りの新しょうがでつくるジンジャーシロップ。

    私はスパイスを加えてピリッと刺激的な大人な味わいが好みです。一般的には砂糖をたっぷり使うのですが、私は煮詰めたあとで、保存性を高めるために少しだけはちみつを加えています。

    そして、炭酸で割ってジンジャーエールにするときやお湯で割ってジンジャーティーにするときにはちみつを加えて、好みの甘さに調節しています。

    最初から甘味をつけるよりも、飲むたびに入れる方が少ない甘味ですみますし、辛さと甘味のメリハリもつきます。

    残った新しょうがは、たいして甘くないのでしょうゆとみりんなどで佃煮にしたり、スパイシーな風味を生かしてカレーなどに再利用できますよ。

    材料(つくりやすい分量)

    ● 新しょうが100g
    ● はちみつ大さじ2
    ● 塩少々
    〈好みのスパイス〉
    ・ クローブ(ホール)1〜2粒
    ・ シナモンスティック1本
    ・ カルダモン(ホール)1個
    ● 水1カップ
    ● レモン汁大さじ2

    つくり方

     しょうがは皮ごとよく洗い、薄切りにする。

    画像: 繊維を断つように薄切りにする。茎の根元の赤い部分も使って

    繊維を断つように薄切りにする。茎の根元の赤い部分も使って

     鍋にと塩、はちみつを入れて混ぜ、10分ほどおく。

     水分が出てきたら、水とスパイスを加えて中火にかけ、沸いたら弱火にしてアクを取りながら10分ほどコトコト煮詰める。

     粗熱が取れたら液体をしっかり絞ってこし、はちみつ(大さじ1くらい)とレモン汁を加える。酸味を加えると、美しいピンク色になる。

     清潔な瓶に移し、冷蔵庫で保存する。

    ※冷蔵庫で約2週間保存可能。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『いつもの食材と調味料で 体が整うごはん』(ナツメ社)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などがある。



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