• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、11~12月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。発酵料理は腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる食べ物として注目されています。物価の上昇が続くいま、お手ごろ価格の「旬」の食材をつかった保存食づくりを始める人も。栄養価が高いだけでなく、たくさん買ってもむだなく使いきれ、節約につながるのも魅力です。今回紹介するのは、「干し野菜の福神漬け」です。

    福神漬けの薬膳的効能ついて

    たくさんの食材を使う福神漬けは、複数の薬効を一度に摂れるのがメリットです。

    れんこんは胃腸を整えたり、瘀血を取ったりするはたらきが。にんじんは体を潤し、血を補うはたらきがあります。

    ごぼうやしいたけ、昆布は冬にはたらきが低下しやすい腎を補うのに最適です。

    大根は消化を促進し、痰の多い咳にも有効です。

    根菜類は体を温めるものばかりではありません。大根やごぼうは体を冷やす性質ですから、天日に干したり、じっくり加熱したりして食べるのがおすすめです。

    【保存食】干し野菜の福神漬けのつくり方

    画像: 【保存食】干し野菜の福神漬けのつくり方

    カレーだけでなく、ごはんのお供としてもぴったりな福神漬け。実はとっても簡単につくれます。

    福神漬けという名前の由来は諸説ありますが、複数の野菜を使うことから、七福神の神さまに見立てて命名したといわれます。

    大根、なす、うり、きゅうり、しょうが、なた豆、れいんこん、しそ、たけのこ、しいたけなど5種類以上を合わせてつくるのが定番ですが、できるだけ旬の食材を使いたいので、今回はこの時季の根菜類だけで漬けてみました。

    また、一般的には塩で下漬けしてつくるレシピも多いのですが、私は天日に干して水分を抜いてから漬けるようにしています。

    そのほうが水分が飛んで日持ちしやすく、また味もしっかり染みやすくなります。コリコリとした食感も最高ですよ。手に入る根菜でオリジナルの福神漬けをつくってみてください。

    材料(つくりやすい分量)

    ● 大根5cm程度
    ● にんじん5cm程度
    ● れんこん5cm程度
    ● ごぼう5cm程度
    ● しいたけ1枚
    ● しょうが1片
    ● 昆布4cm角1枚
    ● A
    ・みりん大さじ4
    ・酢大さじ3
    ・しょうゆ大さじ3
    ・塩ひとつまみ

    つくり方

     大根、にんじん、れんこんは2mm厚さ程度のいちょう切りにする。ごぼう、しいたけは1cm角程度の薄切りにする。しょうがはせん切りにする。昆布は水にくぐらせ、キッチンばさみで細切りにする。

     大根とにんじんはざるに並べて半日ほど干す。

     れんこんとごぼう、しいたけはかためにゆでて水けをきり、大根とにんじんとともにざるに並べて30分程度干す。

    画像: 重ならないようにざるに広げる。できるだけサイズをそろえて切ると、仕上がりがきれいで味も均等にしみ込む

    重ならないようにざるに広げる。できるだけサイズをそろえて切ると、仕上がりがきれいで味も均等にしみ込む

     Aを鍋に入れてひと煮立ちさせ、冷ましておく。

     ボウルに野菜と昆布、を入れてよく混ぜ合わせ、保存容器に入れる。ひと晩置いたら食べられる。

    ※冷蔵庫で約2週間保存可能。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『いつもの食材と調味料で 体が整うごはん』(ナツメ社)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などがある。



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