• 薬膳・発酵料理家の山田奈美さんに、12~1月におすすめの発酵料理と保存食のレシピを教えていただきました。発酵料理は腸内環境を改善し、免疫力向上の効果が期待できる食べ物として注目されています。物価の上昇が続くいま、お手ごろ価格の「旬」の食材をつかった保存食づくりを始める人も。栄養価が高いだけでなく、たくさん買ってもむだなく使いきれ、節約につながるのも魅力です。今回紹介するのは、「はりはり漬け」です。

    大根の薬膳的効能ついて

    大根は、消化酵素のアミラーゼやジアスターゼが豊富なことからわかるように、薬膳でも胃腸を助け、消化を促す食材とされます。

    生で食すほうがこの働きは強くなりますが、胃腸を冷やすため、胃の弱い方や下痢しやすい人は、生食で食べすぎないように注意しましょう。

    そのほか、体内の余分な熱を取り、肺を潤して咳を止め、痰を出す働きもあります。

    のぼせやふらつきなど、気が上半身にあがって症状が出ているときに、気を下げる効果も期待できます。

    【保存食】はりはり漬けのつくり方

    画像: 【保存食】はりはり漬けのつくり方

    パリパリと音がする食感から名づけられたはりはり漬け。昔は冬になるとずらりと大根を干して、たくあんとはりはり漬けをつくるのが習慣だったそうです。

    切り干し大根や大根を4つ割ぐらいにして干した、割り干し大根でつくることが多いのですが、私は煮物などをつくる際にむいた皮を利用します。残りものをむだなく利用できるうえ、かたい皮もおいしく食べられるのでおすすめですよ。

    大根だけでなく数の子やするめ、にんじんを加える地域もあり、これはお正月料理の松前漬けの原点ともいわれます。

    材料(つくりやすい分量)

    ● 干した大根や皮50g
    ● 赤とうがらし1/2本
    ● 昆布3cm角程度1枚
    ● A
    ・しょうゆ大さじ2
    ・酢大さじ2
    ・みりん大さじ2
    ・酒大さじ1

    つくり方

     大根の皮は、ざるに並べて1〜2日天日に干す。割り干し大根を使用する場合は、大根を縦に4つ割りにしてざるに並べたり、ひもで縛ったりして2週間ぐらい干す。

     の皮はキッチンばさみで2cm角程度に切る。割り干し大根は20分ぐらい水で戻し、水けをしっかりしぼってから2〜3cm程度に包丁で切る。昆布は細切りにする。赤とうがらしは種を取ってちぎる。

    画像: 同じ大きさになるように揃えて切ると、味も見た目も均一になる

    同じ大きさになるように揃えて切ると、味も見た目も均一になる

     小鍋にAと赤とうがらし、昆布を入れて煮立てる。

     清潔な保存びんに大根の皮を入れ、が熱いうちに注ぐ。

     冷めたらふたをして冷暗所に1日以上おく。

    ※冷暗所で1カ月ほど保存可能。



    〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉

    山田奈美(やまだ・なみ)

    「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『いつもの食材と調味料で 体が整うごはん』(ナツメ社)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などがある。



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