• 食欲がない、食後に眠くなる、いつも疲れていて冷えやすく、なんだか胃腸の調子が悪い……。そんな人には、体を温め効率的に栄養補給できる「スープ養生」がおすすめ。東京・青山の「源保堂鍼灸院」で、東洋医学に基づいた食養生のアドバイスを行う、国際中医薬膳師の瀬戸佳子さんに、食欲と体力があまりない方に試してみてほしい元気が出る食材と「牛クッパスープ」のレシピを教えていだきました。
    (『1週間で胃腸が必ずよみがえる 気血スープ』より)

    以下の項目に思い当たる人は……
    ヨワヨワ胃腸タイプ/脾虚(ひきょ)

    □ 食が細い、食欲がない

    □ 体力がない、疲れやすい

    □ 食事の量が少し多いだけでもたれる、おなかが張る

    □ 食後に眠くなる

    □ 体が冷えやすい

    □ おなかがゆるくなりやすい、下痢しやすい

    □ 便の中に、食べたものがそのまま出てくることがある

    □ 冷えるとおなかを下しやすい

    □ 舌の横に歯の跡がつく

    画像: 以下の項目に思い当たる人は…… ヨワヨワ胃腸タイプ/脾虚(ひきょ)

    胃腸そのものの体力がないタイプ。食欲があまりなく、食べられる量も少なく、体力もない人です。

    一般的に「虚弱体質」のイメージがありますが、もともと体力があっても働きすぎたり、気を遣いすぎていたりすると、胃腸が弱くなることがあります。

    ヨワヨワ胃腸タイプ「脾虚」さんは
    元気をつける食材を食べる!

    このタイプの人は、活動している量に対し体力が追いついていないので、食事を抜いてしまうと、とたんに元気がなくなります

    断食や糖質制限ダイエットは絶対にNGです。冷たいものや生ものを食べると、ただでさえ弱い胃腸がさらに弱まるので極力控え、スープを中心とした加熱した温かいものを常に口にするよう心がけてください。

    一度に食べられる量が少ない人は、食事を3回と限らず「おやつ(気血を補えるものにする)も食事」と考えて、4〜5食にしてもいいのです。

    そして量が食べられないのであれば質を重視し、気血を養い、胃腸を元気にするものを優先的に食べることを心がけましょう。

    なお、お米は気力の源なので、絶対に抜かないように。

    お米は胃腸の元気を養うのにいちばんいい食材です。ただし胃腸の負担になる玄米は避けましょう。

    画像: ヨワヨワ胃腸タイプ「脾虚」さんは 元気をつける食材を食べる!

    ヨワヨワ胃腸タイプさんにおすすめ食材
    牛肉

    画像1: 気血を養う“牛肉”で疲労回復。ヨワヨワ胃腸をよみがえらせる「スープ養生」とかんたんレシピ/国際中医薬膳師・瀬戸佳子さん
    画像2: 気血を養う“牛肉”で疲労回復。ヨワヨワ胃腸をよみがえらせる「スープ養生」とかんたんレシピ/国際中医薬膳師・瀬戸佳子さん

    東洋医学では自然界のあらゆるものを5つの性質に分けて分析します。肉も「五畜」と言って五臓それぞれを養う肉が決まっていますが、胃腸(脾)を元気にするものが牛肉

    「土用の丑(うし)の日」という言葉をご存知かと思いますが、土用の時期は「脾」の期間で、「丑」はうなぎではなく本来「牛」を指します。つまり胃腸を元気にするには牛肉がいいのです。

    効能としては、気血を補う、筋骨を強くする、胃腸を元気にする作用があります。特に体力が低下して疲労感が強く、筋力が衰えがちな人におすすめの食材です。

    活動的な場面が続き、体を動かすことが多く「疲れたな」と感じたときに、素早く疲労回復してくれます。なお、牛の脂はもたれやすいので、もも肉など、脂が少ない部位を選ぶようにしましょう。

    胃腸が元気になる
    「牛クッパ風スープ」のつくり方

    画像: 胃腸が元気になる 「牛クッパ風スープ」のつくり方

    気血を補い、脾を養う牛肉のスープ。脂身ではなく、ももなど赤身の部位を使って。

    にらは体を温め、疲労回復してくれる効果も。ごはん入りなので、このひと皿で食事は完成です。

    材料(2人分)

    ● 牛もも薄切り肉200g →食べやすく切る
    ● 卵2個 →割りほぐす
    ● にら1束 →4cm幅に切る
    ● 生しいたけ2~3枚 →薄切り
    ● にんじん1/2本 →せん切り
    ● ごはん軽く2膳
    ● 鶏スープ400mL
    ● しょうゆ大さじ1
    ● ごま油適量

    つくり方

     鍋に鶏スープを入れて火にかけ、煮立ったらにんじん、しいたけを入れる。軽く火が通ったら牛肉を加え、アクを取る。にらを加え、ひと煮立ちしたらしょうゆを加えて味を調える。

     卵を溶き入れ、火を止める。

     器にごはんを盛り、上からをかける。ごま油を好みでかける。

    【卵】

    常備しやすく、胃腸が弱い人でも使いやすいおすすめ素材。気血を補う作用だけでなく、気持ちを安定させる作用もあります。


    本記事は『1週間で胃腸が必ずよみがえる 気血スープ』(文化出版局)からの抜粋です


    〈調理・撮影/田中のり子 イラスト/あおむろひろゆき〉

    瀬戸佳子(せと・よしこ)

    国際中医薬膳師。国際中医専門員。登録販売者。早稲田大学理工学部卒、同大学院理工学研究科修了。北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)薬膳科卒業。会社員を経て、東京・青山の「源保堂鍼灸院」併設の薬戸金堂で、漢方相談を行いながら東洋医学に基づいた食養生のアドバイスを行う。『気血スープ』(文化出版局)など著書多数。
    源保堂鍼灸院・薬戸金堂:https://genpoudou.com/

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    『1週間で胃腸が必ずよみがえる 気血スープ』(文化出版局)|amazon.co.jp

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    何気ない生活習慣と食習慣が招く胃腸の不調。胃腸を元気にするために最適な「スープ」を提案します。なかでもおすすめなのが気血(気=体を動かすエネルギーや動力源。血=体のすみずみまで栄養や潤いを届ける)の材料がしっかり入った「気血スープ」。まずは1週間、胃腸が弱まる原因を避け、1日1回の気血スープ生活を始めてみましょう。



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