(『天然生活』2020年12月号掲載)
野菜のうま味が主役の冬野菜レシピ
キンと張りつめるような寒さのなかで、甘味やうま味を蓄えていく冬野菜たち。この季節の素材は胃腸にやさしいものも多く、口にするだけでほっとするような、しみじみとした味わいが魅力です。
「今回の料理は、野菜のうま味が主役。だしや動物性の素材も多少使っていますが、何より野菜のおいしさが際立つようなレシピを考えました。野菜そのものからも、すごくおいしい水分=だしが出るので、それらも存分に活用しています」と冷水さん。
一般的には冬野菜は淡い味が多いイメージなので、味噌やしょうゆなどを使い、こってりした味つけをすることも多いよう。けれども冷水さんは、どちらかというと調味料の味は、ごく控えめに加減していました。
「味つけが濃いと、素材より調味料を食べているような気になるでしょう。それよりもハーブのアクセントで素材の味を引き立てたり、食感をなめらかにすることで、滋味を感じさせやすくしたり。そのほうが私には、『毎日食べたい味』になるみたい。春夏とくらべ、冬の野菜はゆっくり育っているので、火入れも時間をかけたほうがいい気がします。じっくり蒸して、コトコト煮て。その時間がおいしさを引き出しているイメージで、料理してみてください」
「白菜とたらのミルク煮込み」のつくり方
ゆっくり煮た白菜と、カリっと焼いたたらを出合わせたひと皿。かつお昆布だしベースなので、どこか懐かしい味わいです。
野菜の調理のコツ
寒さが増すにつれ、みずみずしくうま味も増す白菜。50分ほどかけて繊維がクタクタになるまで煮るとスープとの一体感も増し、じゅわっとした味、食感が楽しめます。
材料(2~3人分)
● 白菜 | 1/4個 |
● 長ねぎ | 1/2本 |
● しょうが | 1片 |
● 生たらの切り身 | 2~3切れ |
● かつお昆布だし | 200mL |
● 塩 | 適量 |
● 薄力粉 | 適量 |
● 生クリーム | 80mL |
● オリーブオイル | 適量 |
● レモン(薄切り) | 2~3枚 |
つくり方
1 白菜はざく切り、長ねぎは1cm幅の斜め切り、しょうがは薄切りにする。
2 鍋に1をみっちり詰めてかつお昆布だしを注ぎ、火にかける。沸騰したらふたをして、弱火で50分ほど煮る。
3 たらは塩適量をふり、20分ほどおく。キッチンペーパーで水けをふき、薄力粉を薄くはたく。少し多めのオリーブオイルをしいたフライパンで、表面を焼く。キッチンペーパーで余分なオイルをふき、2の鍋の上にのせる。
4 生クリーム、塩適量を加えて調味し、ふたをして5分ほど軽く煮る。器に盛り、レモンを添える。
「長ねぎのサルサヴェルデソース」のつくり方
いつもは脇役になりがちなねぎを主役にしたマリネ。冷蔵保存すれば2~3日もつので、多めにつくるのがおすすめです。
野菜の調理のコツ
生のままだとピリッとして筋っぽいねぎですが、じっくり時間をかけて加熱すると、甘味が増し、トロリとやわらかな食感に。蒸して出た汁も、ソースとして活用しましょう。
材料(つくりやすい分量)
● 長ねぎ | 2本 |
● A | |
・ ゆで卵 | 1個 |
・ パセリ | 20g |
・ ケイパー | 5g |
・ アンチョビフィレ | 2枚 |
・ エキストラバージンオリーブオイル | 大さじ3 |
・ 白ワインビネガー | 大さじ1 |
・ 塩 | ひとつまみ |
つくり方
1 ゆで卵、パセリ、ケイパー、アンチョビはみじん切りにし、Aのほかの材料と混ぜる。
2 長ねぎは5cm長さに切り、耐熱皿などに入れて、蒸し器でやわらかくなるまで30~40分蒸す。粗熱を取り、冷蔵庫で冷やす。
3 食べる直前に2を取り出して、器に盛る。耐熱皿の中に残った汁大さじ1を1に混ぜ、長ねぎにかける。
<料理・スタイリング/冷水希三子 撮影/加藤新作 取材・文/田中のり子>
冷水希三子(ひやみず・きみこ)
料理家・フードコーディネーター。季節の食材を使ったやさしい味わいのレシピが評判を呼ぶ。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです