(『天然生活』2022年12月号掲載)
疲れをとり、よく眠れる入浴法
良質な睡眠には、食事や入浴の順番やタイミングを工夫するのが効果的です。帰宅してすぐにお風呂に入る人もいますが、ベストは「食事→休憩→入浴→睡眠」の順番。
入浴すると皮膚に血液が集まります。一方で、疲れを回復するには筋肉に、食べ物を消化するには胃に血液が集まります。順番を間違えて入浴すると、本来、疲労回復や消化に必要な血液が十分回らず、皮膚表面に集まってしまうのです。
また、深く良質な眠りにつくには、入浴で上がった体温が、ほどよく下がるタイミングで寝るのが最適です。ベッドに入る1時間半前を目安に入浴するといいでしょう。
1 眠る3時間~2時間半前帰ったらまず食事
帰宅直後すぐに入浴すると血液が皮膚に集まり、筋肉など体の疲労が回復しにくくなる。寝る時間、入浴時間から逆算すると、帰宅後、まずはお風呂より食事を。
2 眠る2時間半~2時間前食後の休憩
食事をすると、胃に血液が集まり消化を助ける。食後すぐの入浴は、胃に集まるはずの血液が皮膚に流れてしまい、胃に負担が。食後30分~1時間は、消化のための休憩タイム。
3 眠る1時間半前入浴
深い眠りにつくには、いったん体温を上げてから下げることがポイント。副交感神経が働く40℃のお湯に入浴し、リラックスしながらじっくりと体温を上げるようにする。
4 体温がほどよく下がったら床に就く
入浴後は温まった体のほてりをゆっくりと冷まし、ベッドへ。体温の変化が良質な睡眠を促し、睡眠の質を左右する最も重要な「入眠後90分の深い眠り」につける。
<監修/早坂信哉 イラスト/植松しんこ 取材・文/工藤千秋>
早坂信哉(はやさか・しんや)
温泉療法専門医。東京都市大学人間科学部学部長・教授。お風呂や温泉に関する医学的研究の第一人者。著書に『入浴は究極の疲労回復術』(山と渓谷社)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです