お弁当の定番といえば「おにぎり」。だれにとっても楽しい思い出とともにあるおにぎりをおいしくつくる方法を「おにぎり 浅草宿六」の店主・三浦洋介さんに教えてもらいました。
(『天然生活』2022年4月号掲載)
浅草のおにぎり専門店「おにぎり 浅草宿六」
いまから65年以上前、昭和25年から東京・浅草で営むおにぎり専門店が「おにぎり 浅草宿六」です。三代目店主・三浦洋介さんのおばあさまが開いた店の名前の由来は、「宿(家)の六(ろくでなし)」を意味するそう。
現在は、昼は三浦さん、夜は二代目の三浦さんのお母さまが店に立ち、下町で昔ながらのおにぎりの味をいまに伝える店として、『ミシュランガイド東京2019』にも掲載。
週末だけでなく平日も、おいしいおにぎりを求めて、遠くからも人が訪れます。
小さな店の入り口にかけられたのれんをくぐると、目に入るのはまるでお寿司屋さんのような、カウンターのショーケースに並ぶおにぎりの具の数々。
壁には手書きのメニューの短冊が並び、そのなかからお好みの具を注文してにぎってもらいます。梅干し、さけなどの定番の具から、紅しょうがや塩辛などの変わり種の具材まで、厳選された15種類ほどから選ぶことができます。
「小さいころは、このカウンターが家の食卓代わり。幼稚園や小学校から帰ってくると、カウンターで祖母のにぎったおにぎりを毎日食べていましたね」と三浦さん。
自慢のおにぎりは、三浦さんが毎年、食べ比べして選んだ米を羽釜で炊き、熱々のうちにさっとにぎって、東京湾産ののりで包みます。ほどよい塩加減、具材との相性、のりのパリパリ感などが味わえ、「日本人でよかった! 」と思わずにはいられない味に。
お弁当をおにぎりにすることで食べやすくなり、子どももぱくぱく食べてくれるのもうれしいところ。
お弁当の場合は、衛生面から必ずラップでにぎること。ラップをはずして冷ましてから、別のラップで包むようにしましょう。
ふんわりおにぎりのにぎり方
お米がふんわり仕上がるにぎり方を伝授してもらいました。お弁当のときは素手ではなく、ラップや箸を使って。
教えてくれる人
おにぎり 浅草宿六 三浦洋介さん
材料(1個分)
● ごはん | 70g程度 |
● 具材(今回はさけを使用) | 適量 |
● のり(全形を縦半分に切ったもの) | 1枚 |
● 塩 | 適量 |
● 水 | 適量 |
にぎり方
1 まな板に炊きたてのごはんを広げる。お弁当の場合はラップを敷き、上に塩を適量振り(塩は9の工程でもよい)、ごはんを広げる。
2 ごはんを全体に広げ、粗熱を取る。お弁当にするときは濡らした箸で広げる。
3 具材(ここでは粗くほぐしたさけ)を広げたごはんの中央に置く。
4 具材が隠れるように端にあるごはんを中央にかぶせる。
5 人差し指と親指を開いた両手でごはんをはさみ、三角形に軽くまとめる。
6 片手の人差し指、中指、薬指の指3本に塩を軽くつける。6、7の工程は、ラップでにぎる場合は不要(1か9で塩を振る)。
7 手に水を少量つけ、すり合わせて、指についた塩を手のひら全体になじませる。
8 5を三角形に3回、転がすようににぎる。ギュッと力を入れすぎないのがコツ。
9 まな板に8を置いて、粗熱を取る。すぐに食べるときはあつあつでもよい。ラップでにぎる場合は、ここで塩を振ってもよい。
10 のりの中央に(写真参照)、三角形ににぎったおにぎりを置く。お弁当の場合は、のりは別に持って行き、食べる直前にまく。
11 のりの上側を少し残すようにして(写真参照)、ごはんに巻きつける。
おにぎり 浅草宿六
住所:東京都台東区浅草3-9-10
営業時間:昼11:30〜夜17:00~ ※それぞれごはんがなくなり次第終了
定休日:日曜、火曜・水曜の夜
<監修/三浦洋介 撮影/山川修一 取材・文/工藤千秋>
三浦洋介(みうら・ようすけ)
東京で一番古い、老舗のおにぎり専門店「おにぎり 浅草宿六」店主。30歳のときに宿六を継ぎ、三代目店主となる。おにぎりワークショップを開催するなど、その魅力を国内外へ積極的に発信中。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです