• やる気が出ない、疲れやすい。そんな不調を感じている人は、「タンパク質」が不足しているのかも? 料理家の田内しょうこさんが体力向上のために取り組んだ「朝ごはん×タンパク質」改革を紹介します。今回は、実は高タンパク質食材の「カッテージチーズ」の朝ごはんについて。

    大さじ2強が卵1個分。少量でしっかりタンパク質が摂れる「カッテージチーズ」

    5月のように暖かくなったかと思うと、次の日にはダウンコートが必要なほど冷え込んだり。三寒四温という言葉ではおさまらないくらいに気温や気候の変化が激しいこの頃ですが、みなさん、お元気にお過ごしですか?

    冬の間には温かい水分のあるものが食べたいなと思うことが多かったのに、暖かい日が増えてくると、なんとなくパンが食べたくなります。

    ごはんがメインの献立だと取りいれづらい乳製品も、パンの日なら取り入れやすくなるのもタンパク質改革的には嬉しいところ。とはいえ、普通のチーズはタンパク質含有量が実はそこまで多くはないのですが、少量でしっかりタンパク質が摂れるチーズがあるのです。それがカッテージチーズです。

    画像: 大さじ2強が卵1個分。少量でしっかりタンパク質が摂れる「カッテージチーズ」

    正直なところ、子どもの頃はカッテージチーズが大嫌いで。味がなくてポソポソしたものと思っていたのですが、大人になって食べてみるとその滋味がじわじわとしみるようになってきました。

    確かにチーズだと思って食べると、油分は少ないし塩味も少ないし、なんだかほわっとしていてパンチにかける味です。

    でも、これを自分で牛乳からつくると、びっくりするほどおいしいのです。

    牛乳から凝縮してつくられるから、タンパク質も凝縮

    そもそも、カッテージチーズってご存じですか?

    もしかすると、あまり食べたことがないという方もいらっしゃるかも知れません。

    かんたんにいうと、カッテージチーズとは、牛乳のタンパク成分を凝縮させて水分を絞ったもの

    牛乳の中のタンパク質成分(カゼイン)を酸で凝固させ、水分を分離させてつくる、ものすごく原始的なチーズです。

    熟成させることなくすぐに食べられるので「フレッシュチーズ」にカテゴライズされ、実はクリームチーズやマスカルポーネ、モッツアレラチーズなどの仲間とされています。

    イギリスやオランダでよくつくられているチーズですが、実はインドのカレーに入っているパニールと呼ばれるチーズもこのカッテージチーズをしっかりと水切りしたうえで押しかためたものだそうで、世界のあちこちで食べられている知恵なのだとわかりますね。

    牛乳はそのままだとグラス1杯(200mL)で摂れるタンパク質は6gほど。卵1個とほぼ同量です。

    ところが、その牛乳を凝縮してつくるカッテージチーズなら当然タンパク質も凝縮されているわけで、効率よくタンパク質が摂れるのです。

    牛乳1リットルから摂れるカッテージチーズは約250g。50gのカッテージチーズ(大さじ山盛り2杯ほど)を食べれば、牛乳1杯分、つまり卵1個分と同じタンパク質を摂ることができるんです。

    画像: 牛乳から凝縮してつくられるから、タンパク質も凝縮

    カッテージチーズのつくり方

    カッテージチーズのつくり方はかんたん。理科の実験のような感覚で楽しくつくることができます。

    牛乳(1L)を温め、煮立ってきたところに酢(50mLくらい)を加えます。

    画像1: カッテージチーズのつくり方

    すると瞬時に牛乳のタンパク質が凝固し、もろもろとした固まりになり、水分(ホエイ)と分離します。

    画像2: カッテージチーズのつくり方

    キッチンペーパーを敷いたザルなどにあけ、水気を絞ってかたまりだけを取り出します。

    画像3: カッテージチーズのつくり方

    わたしのおすすめは、見た目はちょっと悪いのですが水切りネットを使う方法。

    このままじゃぶじゃぶと水をかけて洗えば、酢の酸味がなくなってまろやかな味になります。

    このカッテージチーズを保存すれば、サラダなどいろいろな料理に使えます。牛乳を大量に消費できるのも嬉しいポイントです。

    カッテージチーズは低脂肪で塩分も自分でコントロールできるので、普通のチーズに比べるとかなりヘルシーな食材。味もさっぱりとまろやかで、牛乳は少し重いな、と感じるときにも新鮮に楽しむことができておすすめです。

    カッテージチーズを使った朝ごはん

    カッテージチーズを使った朝ごはん①
    カッテージチーズと明太子の青じそトースト

    画像: カッテージチーズを使った朝ごはん① カッテージチーズと明太子の青じそトースト

    パンにたっぷりのカッテージチーズと明太子、青じそをのせてトーストに。

    カッテージチーズは優しい味わいでややパンチに欠けるので、明太子などアクセントになる強い味のものを加えるとおいしく食べられます。明太子との相性もばつぐんの青じそを加えてさっぱりと。

    カッテージチーズを使った朝ごはん②
    カッテージチーズ入りオムレツ

    画像: カッテージチーズを使った朝ごはん② カッテージチーズ入りオムレツ

    手軽でおすすめなのが、卵に混ぜる方法。刻んだパセリやハーブと一緒にカッテージチーズをオムレツに混ぜれば、食べやすくタンパク質も手軽に増やすことができます。

    オープンオムレツやキッシュの具材として使うのも気に入っています。

    カッテージチーズを使った朝ごはん③
    ツナペースト

    画像: カッテージチーズを使った朝ごはん③ ツナペースト

    カッテージチーズとツナを混ぜ合わせてペーストに。玉ねぎみじん切りに好みでにんにくを少し、オリーブオイル少々、塩こしょうに最後に香りのよい酢で味をととのえます。

    刻んだディルをたっぷり混ぜ込んで。ライ麦90%のドイツパンによく合います。

    カッテージチーズを使った朝ごはん④
    サラダ仕立てパスタ

    画像1: カッテージチーズを使った朝ごはん④ サラダ仕立てパスタ

    カッテージチーズとツナの組み合わせをパスタにも。

    ミニトマトをつぶしたソースにパスタをからめ、スナップエンドウ、ブロッコリースプラウト、チーズとツナをのせてサラダ仕立てに。粒マスタードが味のポイント。

    ※ ※ ※

    うちでは、牛乳が飲みきれないな……ということが実は多いのですが、そんなときには、いつもカッテージチーズにしてしまいます。

    残っている牛乳を沸かして適当な量のお酢を入れるだけ(基本は牛乳1Lに酢50mLですが、目分量の適当な量で大丈夫!)で牛乳を残さずに消費することができます。

    ちなみにわが家のお気に入りは、柑橘類と合わせるサラダです。

    そろそろシーズンが終わりになる春菊と金柑をカッテージチーズ、オリーブオイル、ビネガーで和えると、ワインのおつまみにも最高なのです。ぜひお試しを。



    画像2: カッテージチーズを使った朝ごはん④ サラダ仕立てパスタ

    田内しょうこ(たうち・しょうこ)
    「忙しい人のための時短料理」「時間価値を生むシステム料理」をテーマに、書籍や雑誌、ウェブサイトで発信。セミナーや出張教室のほか、食と暮らし、子育て関連の情報発信を行う。著書に『時短料理のきほん』(草思社)、『働くおうちの親子ごはん』(英治出版)、『汁かけごはん』(駒草出版)など。
    インスタグラム:@tauchi.shoko
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