(『天然生活』2023年5月号掲載)
光注ぐサンルームのようなリビングで過ごす至福の時間
「もっと植物を増やして、ジャングルみたいにしたいんです」
そう語るのは、フラワーアーティストの荒木ゆきえさんです。植木職人の夫とともに実店舗で花屋を営んでいましたが、4年前に新居を建てたことをきっかけにオンラインショップに移行しました。
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1日の大半を過ごすリビングダイニング。2面採光で吹き抜けの窓から明るい日差しがたっぷりと入る
「家の居心地がとてもいいので、寝に帰るだけではもったいない、と。理想の暮らしを実現するためにも、家でもっとゆっくり過ごせたらと思いました」
建てた当初は、植物は店で扱うだけで手いっぱいだから、自宅には置かずに窓の外に広がる借景だけで十分と考えていたそう。しかしじわじわと増えつづけ、リビングダイニングは小さな植物園のようになっています。
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色のバリエーションが豊富で、手軽に球根から水耕栽培できるヒヤシンスは、店でも人気。「甘い、いい香りがするんですよ」
荒木家のシンボルツリーは、黒っぽい葉と曲がった枝ぶりが独特の雰囲気をもつ、ゴムの木。コウモリランやリプサリスなど、エキゾチックなものが多いのも印象的です。
「観葉植物は全般的に葉の形がいろいろで、緑色にもグラデーションがあり、見ていて飽きないですね。それにひとつあるだけでも空間が変わると思います。たとえばダイニングテーブルは夫がつくったものですが、グリーンを置いてあげるだけで、テーブルの存在が引き立ち、映える気がします」
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植物の世話に欠かせない道具。高いところの水やりがしやすいスプレーボトルと霧吹き、枝の太さで使い分けているはさみ
植物たちは、手をかけた分だけちゃんとこたえてくれます
甘い香りの花が咲く楽しみも
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壁には夫の敬司さんが取り付けた鉄製フックがあり、エアプランツとして人気のウスネオイデスを飾って。
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引き出しを返してプランタースタンドに。直に床に置くより水やりしやすく、インテリアのアクセントにも。
まるで家の中の小さな森のよう
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2階のワークスペースから見下ろした1階の様子。家の中と庭の緑がゆるやかにつながり、開放的な雰囲気がある。
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レバーを押したときと離したときと、どちらも水が出る複式タイプの霧吹きで、効率よく水やり。
「葉っぱが、ぴんっとしてきます」
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多肉植物のユニークな造形を引き立てる石の植木鉢。
「鉢によって印象が変わるので、植物に合うものが見つかるとうれしいです」
台所は水やりがしやすいから吊るしたり、鉢を置いたり
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庭を挟んでリビングと向かい合う台所。
大きな窓からはたっぷりと日が降り注ぎ、鉢植えなども元気に育つ。
板付けの蘭を吊るして
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板付けのデンドロビウム。「小さめが扱いやすいですよ」。
週1回、水入りのバケツにつけて吸水させる。
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切り花を台所に飾るときは、「寒い場所や、日が直接当たらない場所に置くようにすると、花が長持ちします」
エアプランツを容器に
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穴あきのガラス容器にハンギング用の麻ひもを付ける荒木さん。
多様なひもは、かごにまとめて台所の棚に。
<撮影/山田耕司 取材・文/長谷川未緒>
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荒木ゆきえ(あらき・ゆきえ)
フラワーアーティスト、花の店「輪(りん)」店主。アパレル業を経て、植木職人の夫とともに生花店をオープン。現在は実店舗を閉め、オンラインショップでの販売を中心に、イベント出店やフラワーアレンジメントのワークショップなども行う。インスタグラム@hananomiserin