(『天然生活』2022年5月号掲載)
月の満ち欠けや季節の変化を感じながら暮らす
「センス・オブ・ワンダー」(神秘に目を見張る感性)。取材中、高月さんが何度も口にした言葉です。
「この鳥の声は何? 」
「どうしてこんなところにこの花は咲いているの? 」
自然現象に素朴な疑問をもち、考え、観察し、日々の発見を重ねることで、暮らしはぐんと豊かになると話します。
「月の満ち欠けや季節の変化を感じながら暮らしていると、物事をキャッチする能力は磨かれていきます」
そして、自然の仕組みがわかってくると、「自分は自然の一部で、生かされている」と思い至り、楽になれるのだといいます。
触れる
生命力みなぎる草や大地のパワーをチャージ
![画像: 「河原や野原をはだしで歩く『踏青』は、土壌微生物と交流する逢瀬のひとときでもあります」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/04/04/44511a9a57a49dbf7235d23a1e524a5dc9543f07.jpg)
「河原や野原をはだしで歩く『踏青』は、土壌微生物と交流する逢瀬のひとときでもあります」
「山入り、浜下(はまおり)、踏青(とうせい)、この時季に昔の人は、近くの自然にたくさん触れ、楽しんでいました。はだしになって野や砂浜を歩くだけで、自然の息吹を感じられ、エネルギーをチャージできるんです」
![画像: 野生のつくしは、春の一瞬にだけ楽しめる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/04/04/c1c0957120e7d799cbb90faacd457ab1077b51b9.jpg)
野生のつくしは、春の一瞬にだけ楽しめる
野で草を摘む摘み草、浜で貝を拾うなども、この季節を手軽に「体感」できる遊び方です。
![画像: 生命力に満ちた草や土の上を歩くだけで、清々しい気持ちに](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/04/04/f5e18d48497cc3d94eabdf0135afa8e4f7ddc58c.jpg)
生命力に満ちた草や土の上を歩くだけで、清々しい気持ちに
![画像: 高月さんも主催に名を連ねる月待ち講ワークショップで恒例のよもぎ摘み](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/04/04/13a9f156765b5e7aa63751cbee0fd47947972daa.jpg)
高月さんも主催に名を連ねる月待ち講ワークショップで恒例のよもぎ摘み
香る
さわやかな風に乗り、青葉やバラの香りが
公園や野を歩くと、若葉や新芽のみずみずしい香りが。深呼吸して「萌える緑」を感じて。
「5月にはバラの香りを楽しんでください。別名『長春花(ちょうしゅんか)』といい、春が終わった、ちょうど清明のころに咲き出します」
公園の花壇、家庭菜園の庭、注意深く探すと、あちこちで見つけられます。
![画像1: 五感を刺激する“和暦(われき)”の暮らし「触れる」「香る」季節のあそび/和暦研究家・高月美樹さん](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/04/04/106f8d3432794e96d85a59f0f2daa3196fe460ae.jpg)
![画像2: 五感を刺激する“和暦(われき)”の暮らし「触れる」「香る」季節のあそび/和暦研究家・高月美樹さん](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/04/04/d928e1b6f6c4a3faabf61d5c50c0a36b2c6ed30a.jpg)
高月さんのスマートフォンにはバラの写真コレクションが。
「近所に『バラの館』があるもので、毎年激写させてもらっています。『薫風(くんぷう)』は初夏の若葉が香るころをさす季語ですが、バラの甘い香りもふんわり漂ってくる、本当にさわやかな季節ですね」
<撮影/近藤沙菜、高月美樹 取材・文/鈴木麻子>
![画像: さわやかな風に乗り、青葉やバラの香りが](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/04/04/fd390fb3dcdd7cad056e7e9dff634c9e1aaca860.jpg)
高月美樹(たかつき・みき)
和暦、和文化研究家。2003年より月と暮らす旧暦手帳『和暦日々是好日』の製作、発行を手掛ける。『まいにち暦生活』(ナツメ社)など暦に関する本の監修や、講演も行う。手帳はウェブサイトにて販売している。https://www.lunaworks.jp/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです