• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。猫に好かれる咲さんですが、かつては猫に嫌われていたことが。

    猫に好かれるどころか嫌われていた

    「セリさんは、猫に好かれて素敵ですね」

    長い間、猫との生活をブログでお伝えしていると、そんな嬉しいお言葉をいただくことがあります。

    でも実は、私はもともと猫に好かれるどころか、猫に嫌われるタイプの人間だったんです。

    猫と暮らしている友人の家に遊びに行っても、うまくして無視されるか、ひどいときは威嚇されたり、こわがって逃げられる有様。それなのに一緒に行った夫には、猫が集まってきて、ごろごろすりすりされるのです。

    そんな光景は我が家の中でも一緒。

    夫の周りには、いつも猫の群れができています。

    画像: 猫に好かれるどころか嫌われていた

    猫に好かれる人の特徴

    私と夫の何が違うのか?

    一番は、夫は猫がいても、とにかくまるで猫を意識していないように「自然体」でくつろいでいること。

    私なんて、猫のいる家に行くとテンションが上がり、つい好きになってもらおうとかまってしまいがち。一生懸命、意識しないようにしようとしても、ちらちら見てしまったり、声が猫なで声になったり。

    きっと、猫たちからすると、私のことが「挙動不審な変な人」「気をつけろ!」となってしまうのだと思います。

    その点、夫は友人の家でも昔からの住人のようにリラックスしているので、安心するのでしょうね。

    そんな感じで、もともと猫に好かれる夫ですが、私が生きづらさを抱えていることで、なお、猫に好かれるようになったのです。

    というのは、私はHSP(生まれつき非常に感受性が強く敏感な気質を持った人)と不安障害から、大きな音や声がとても苦手

    大きな足音や、荒げた声で、動悸が止まらず息ができなくなるくらいパニックに陥ってしまうため、夫はとても気をつけて日々の生活を送るようになりました。

    ドアを閉めるのも、階段を上るのも、ひたすら小さな音で。テレビも音を出さず、夫だけで見る時はヘッドホンを使用。声も、ささやくような小さな声で会話をします。

    そんな夫の努力で、大きな音や大きな声を出さない習慣ができて、男性が苦手な猫が多いと言われる中でも、好きになってもらえるのだと思います。

    画像: 猫に好かれる人の特徴

    猫のおかげでリラックス上手になれた

    いまでは私も夫を見習い、「いつもリラックス」を心がけるように。そもそもが極度の緊張しいで、家でも肩に力が入り、いつもぴりぴりしていた私。

    最初は難しかったのですが、夫の真似をしているうちにリラックス上手になりました。すると、猫も寝転がっている私の上でくつろぐように。

    猫のおかげで、私も安心。猫も安心。

    画像1: 猫のおかげでリラックス上手になれた

    人間なのか猫なのか分からないほど、ゆるゆるの穏やかな日々を送っています。


    画像2: 猫のおかげでリラックス上手になれた

    咲セリ(さき・せり)

    1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。

    ブログ「ちいさなチカラ」



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