• 物価高騰が続くいまこそ、日々を見直す好機。これからの暮らしのヒントをDWELL主宰の川畑健一郎さん、夕さんにお聞きしました。今回は、川畑さんの「むだを見直し、楽しく暮らす知恵」を教わりました。
    (『天然生活』2023年6月号掲載)

    友人たちが集まる、居心地のいい空間

    庭に面したキッチンは、明るくて居心地がいい。庭のコンテナからハーブや野菜を摘んでサラダにし、ペレットオーブンでピザを焼いて。

    マヨネーズは庭で飼うニワトリの卵で手づくり。気取りのないおもてなしがうれしくて、友人たちがしょっちゅうやってきます。川畑さん夫婦は、この空間をGOOD-TIME PLACEと呼んでいます。

    「2階にLDKがありますが、友人を迎えるのも、ふだんの食事もほぼここで。床が土間なので、土いじりをして、そのまま土足で入れるからラクチン。愛犬ロイドと過ごすにもちょうどいいんです」と、妻の夕さん。

    夫の健一郎さんは家具職人。東京で経験を積んだあと、鹿児島の工務店に6年勤め、暮らす場所をつくることに心が向くようになりました。

    ライフワークとして取り組むのは、人が集まる場所づくり。自宅はそのための、実験ラボでもあります。半屋外空間は、健一郎さんのセルフビルド。

    2階のデッキを屋根にし、窓は農業ハウス用のビニールシートを活用。使用する電力は4枚のソーラーパネルでまかなっています。

    「うちの蓄電池に充電できるのは、5kW。夏場なら午前中にためられる量です。蓄電池が満タンになるとそれ以上は電気がつくれないので、午前中のうちに、ホットクックで料理したり、スマートフォンを充電したり。昼以降は蓄電して、夜間の使用に備えます。災害時に電気が使えるのも大きな利点です」

    工夫
    太陽光発電で台所の電力をまかなう

    半屋外空間にあるキッチンは太陽光発電で電力をまかなうので、食洗機からワインセラー、自動電気調理鍋ホットクックまでそろう、ハイスペック。

    画像: 母校である美術大学から譲り受けたテーブルが、ラフな空間にしっくりなじむ。甘えん坊の愛犬ロイドと

    母校である美術大学から譲り受けたテーブルが、ラフな空間にしっくりなじむ。甘えん坊の愛犬ロイドと

    準備も、片づけも楽だから、来客も気軽に。

    「家の中だとどうしても気を使うけど、土足で入れるラフな空間だから、気楽に過ごしてもらえます」

    友人も一緒にキッチンに立つそう。

    工夫
    発電する日中のうちに料理する

    電力がつくられる昼間のうちに夕食づくり。

    画像: 庭で飼うニワトリの卵白と米油、酢、塩をバーミックスで攪拌し、マヨネーズに

    庭で飼うニワトリの卵白と米油、酢、塩をバーミックスで攪拌し、マヨネーズに

    「自動調理鍋“ホットクック”は材料を入れるだけで、シチューやカレーがつくれてとても便利です。食材の水分を生かして煮る無水鍋なので、何時間もコトコト煮たみたいにおいしくできますよ」

    画像: ホットクックで時間を有効活用。右にあるのが太陽光発電の電源タップ

    ホットクックで時間を有効活用。右にあるのが太陽光発電の電源タップ

    発電量は天気などに左右されるが、発電量、使用量もスマートフォンでチェックできる。

    画像: ホットクックに鶏ガラなどを入れてだしをとり、この日は鶏飯を

    ホットクックに鶏ガラなどを入れてだしをとり、この日は鶏飯を

    工夫
    コンテナファームで野菜とハーブづくり

    庭の土留めを兼ねてコンテナファームを置き、いろいろなハーブや野菜を栽培。

    「地植えだと腰に負担がかかりますが、コンテナなら高さがあるので収穫も草取りも楽です」

    日置市の生ごみを再生した有機堆肥「よかんど!」や金澤バイオのバイオ肥料をときどき足して、土の中の微生物を元気に。水やりは、雨水をためて活用。

    画像: カモミールやミント、わさび菜など、さまざまな種類がコンテナで共存

    カモミールやミント、わさび菜など、さまざまな種類がコンテナで共存

    画像: 摘みたてをサラダに。味も香りもいきいき

    摘みたてをサラダに。味も香りもいきいき

    画像: おが屑などを圧縮したペレットを燃料にする。温度計付きで使いやすい

    おが屑などを圧縮したペレットを燃料にする。温度計付きで使いやすい



    <撮影/白木世志一 取材・文/宮下亜紀>

    川畑健一郎、夕(かわばた・けんいちろう、ゆう)

    DWELL主宰。鹿児島を拠点に住宅や店舗デザイン、家具製作など、暮らしにまつわるさまざまを手がける。「コンテナFARM」やデイベッドは販売も。妻・夕さんは材料集めから始めるリースづくりのワークショップを主宰、愛車バネットで友人とマルシェ出店も。https://dwell-lab.net/ インスタグラム@dwell_kagoshima

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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