(『天然生活』2023年10月号掲載)
古きよきものに囲まれながら、愛する家族たちと過ごす夜時間
東京と自宅のある栃木県足利市を行き来しながら、西洋の古道具を扱う「antiques BAGATTO(アンティークス バガット)」を営む塩見奈々江さん。
築121年の古民家に、夫と保護犬のウーゴ、迷い猫だったみつばと暮らしています
西洋アンティークを扱う仕事をしながら、築121年の古民家に暮らし、地唄舞という和の趣味を持つ塩見さんならではの、夜の時間割を教えていただきました。
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前回のお話はこちら▼
塩見さんの「夜の時間割」
17:00 | 着物をしまう |
18:00 | 雨戸を閉める、ウーゴの散歩へ行く |
19:00 | 夕飯の支度 |
19:30 | 夕飯、オイルランプを灯す |
20:30 | 洗った食器をしまう |
21:00 | 入浴 |
21:30 | みつばと遊ぶ |
22:00 | ベッドに入る |
23:00 | 就寝 |
夕方からの夜時間の過ごし方
17:00 2時間ほど干したら着物をしまう
少なくとも週に1、2回は着物を着る塩見さん。着物は頻繁に洗うものではないため、着用後は衣紋掛にかけて体温や湿気を抜き、汚れがないか確認します。
「夜は湿度が上がるので、絹の着物をずっと出しておくと、かえって湿気を帯びてしまいます。日が落ちる前にはきちんとたたみ、桐の箪笥(たんす)にしまうようにしています」
18:00 よい眠りのために、雨戸を閉める
イタリアで暮らしていた家には観音開きの木製の扉が外付けされていて、夜は閉めていたそう。その習慣もあり、夜は真っ暗なほうが熟睡できるため、日が暮れてきたら雨戸を閉めます。
「古い家なので建具を保護する目的や、夏は断熱、冬は保温効果も。防犯の役目もありますし、暗くなる前に必ず閉めます」
19:00 ウーゴの散歩へ行く
保護犬の預かりボランティアをしている塩見さん。プロット・ハウンドのウーゴは30㎏近くある大型犬なので里親がなかなか現れず、預かって4年目。
「推定10歳以上なので、もう老犬です。走ったりはしませんが、朝晩各1時間程度は散歩しています。車移動が多いので、ウーゴのおかげで健康的な生活を送れています」
19:30 オイルランプを灯す
夕食のときにキャンドルを焚く感覚でオイルランプを灯します。電気とは違う明るさに、ほっとしていやされるそう。
「キャンドルだとろうが垂れますし、意外と早く終わってしまうんですよね。オイルランプは昔は灯油を使っていたようですが、いまは専用のオイルがあるので、においも気にならず、意外と長持ちします」
20:30 洗った食器は食器棚へしまう
食器を洗い、水をきったらふいて食器棚にしまいます。食器棚はダイニングとリビングにそれぞれひとつずつ。どちらもアンティークで、キッチンには小さめの器が、リビングには大きめの器がしまわれていました。
「朝、台所に立ったときにシンクや水切りかごに食器が置きっぱなしだと気分がよくないので。明日の私のためですね」
21:30 みつばと遊ぶ
雄猫のみつばは推定2歳。去年、庭に現れ、窓を開けたら入ってきました。
「昼間はほとんど寝ていますが、夜は活発になります。猫じゃらしタイプのおもちゃが好きで、永遠と遊んでいますね。みつばと遊ぶ時間は、最高のいやしタイムですが、明け方、猫パンチで起こしにくるのだけはやめてほしいと思っています」
塩見さんの夜時間の楽しみ
本を読む
「夜のほうが不思議と読書がはかどるので、ベッドサイドに本を持ち込み、毎晩読んでいます」。最近読んでいるのは、歌舞伎役者がお茶の古道具を集めるさまや、お茶の歴史について綴ったエッセイ。イタリアの文化史や、食にまつわる本もよく読んでいます。
〈撮影/林 紘輝 取材・文/長谷川未緒〉
塩見奈々江(しおみ・ななえ)
東京都生まれ。ヨーロッパのアンティークを扱う専門店「アンティークス バガット」主宰。実店舗をもたずに、東京と自宅のある栃木県足利市を行き来しながら、オンラインやイベントなどで販売をしている。センスのいいセレクトが評判。http://www.bagatto.jp/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
天然生活2024年10月号では「私が整う夜時間」を特集しています。
「今日のやらなければいけないことを片づけ、心と体をほぐす、いやしの夜時間。
新しい明日を迎えるために、まずはまっさらな自分へとリセットを」
ぜひご覧いただけましたら幸いです。
天然生活 2024年10月号
https://shop.tennenseikatsu.jp/items/89902065