(別冊天然生活『暮らしを育てる台所』より)
“人”と“もの”をつなぐ舞台「心に風キッチン」
「このすだちもしょうがも、みんな友人が送ってくれたものです。田舎は、ものの行き交いがとても豊かでダイナミック。自然や生産者に近いところで暮らしているなと実感しますね。料理教室のメニューを決めるときも、農家さんに最近何ありますか? と聞いたり、産直のお店をのぞいたりして、いまどんな素材があるのかを確かめてから。つくることや食べることで、この場所に関われていることがうれしいですね」
長年暮らした東京を離れ、故郷の兵庫県・淡路島で暮らすどいちなつさん。いただいた食材をジュースにしたり、塩漬けにしたり、それを今度はご近所さんにおすそわけしたり……。
この、「人」と「もの」のつながりを支える舞台が、古い小屋を改装した「心に風キッチン」です。
眠っていた古い小屋を、居心地のいい空間に改装
移住を機に自然農を習いはじめ、米や野菜、ハーブを育てるようになったどいさん。
この小屋と出合った頃は、畑仕事の休憩処や作物の仕分け場所にと考えていたそうですが、あちこちで開催していた料理教室もここで開けたらと、シンクやコンロも備えたいまのスタイルになったそう。
のどかな風景を切り取るような横長の窓、シンプルな棚板にびんや土鍋が並ぶコーナー、くすんだこがね色のパイプをつなぎ合わせた水まわり。長いあいだ眠っていた古い小屋から一転、自然素材や古物が豊かな表情をたたえる、居心地のいい空間が誕生しました。
〈撮影/ヨシダダイスケ 取材・文/山形恭子〉
どいちなつ
淡路島在住。山麓の休耕田を復活させた田畑で野菜やハーブを栽培し、野山の植物や自然農を学びながら日々料理をする。「心に風」の名前で活動し、料理教室も開催。インスタグラム@windformind