(別冊天然生活『これまでも、これからも 歳を重ねて楽しむ暮らし vol.2』より)
ストレスとうまく付き合い、心を整えるセルフケア
日々感じている対人関係のもやもや、仕事のイライラ。
カウンセラー歴30年の伊藤絵美さんに、ストレスとうまく付き合い、心を整えるセルフケアの「3ステップ」を教わりました。
ステップ1〈目を向ける〉「体と心の調子をチェックする」
ステップ2〈外に出す〉「気になることを書き出す」
ステップ3〈ケアする〉「落ち着く方法をたくさん見つける」
▼ これまでの記事はこちら
本記事では、ステップ2「気になることを書き出す」方法を紹介します。
Step2 外に出す
気になることを書き出しましょう
書くことは、頭の中で考えていたり、心の中で感じていたりする内容をとらえて、頭や心の「外に出す」行為です。
自分の思考や感情などが文字で眺められるようになるため、客観的に向き合うきっかけとなります。
まずは気持ちを整理しようとか、正確にいい表そうなどと思わず、とにかく正直に書いてみましょう。
愚痴やネガティブな感情を書くのに抵抗がある人もいるかもしれません。
でも、それらを文字に書き出したほうがストレス対処には効果があると、実証研究でわかっているそうです。
「何を書いてもいいのですが、書いた内容を否定するのは避けてください。
‟こんなふうに思う自分は弱い“などとダメ出しはせず、ただそのまま受け止めていれば、自分なりの対処方法が見えてきます。
また、たとえば雇い止めにあうなどの大きくて1回きりのストレスはだれもが把握しやすいけれど、‟マスクで相手の表情がわからない”などの小さく続いているストレスには気づきにくいものです。小さなストレスほど意識して拾ってみてくださいね」
「イライラ」や「もやもや」の感情も包み隠さずに
週に1回、または‟イライラもやもや”するときだけでも。
書いてみると、自分のことが見えてきます。
とにかく書くだけでもOK
嫌だった出来事、いまの気持ちなどを、ただ書いてみましょう。
辛いときは大きく書き殴ってもいいのです。出すことが大事です。
たとえば……。
● せっかくつくりおきしたカレーをダメにしてしまった
● 職場で指摘されたことが頭から離れない
● 子どもが部屋を散らかす
● To Do リストがたまっている
● なんだかやる気が出ない
● 寝ても疲れが取れない
● ○○さんが素敵な家に引っ越してうらやましい
ポイント
●小さなストレスに気づくことが実は大切
●週に1回でも、続ければ変化が出てくる
●何を書いても、それを自分で否定しない
自分で整理をしてみる
書き出すことに慣れたら、書いた内容を整理してみましょう。
第三者のような気持ちで向き合うのがポイントです。
事実か、思い込みか?
たとえば「あいさつをしても反応がなかった」ときに、「無視された」と思うのは自分の想像。
状況の事実としては、「反応がない」ことしかわかっていないので、思い込まずに「事実がわからなければ保留にする」としてみても。
自分でコントロールできるか?
物事には自分で対処できることと、できないことがあります。それを振り分けて認識するだけで、気持ちの整理がつくことも。
抱える悩みのなかから自分でコントロールできることに目を向けて、心の負担の総量を減らしていくように。
問題を小さく分解できるか?
問題に気づいたら、いっきに解決を目指すのではなく、小さく分解し、部分的に行動してみるのが確実。
たとえば人間関係で悩んでいるなら、「話すときは笑顔に見えるよう口角を上げる」など、無理なくできることを見つけて。
> 次回は、ステップ3「落ち着く方法を見つける」について紹介します。
〈監修/伊藤絵美 イラスト/にしごりるみ 構成・文/石川理恵〉
本記事は別冊天然生活『これまでも、これからも 歳を重ねて楽しむ暮らし vol.2』からの抜粋です
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伊藤絵美(いとう・えみ)
カウンセラー、公認心理師、臨床心理士。認知行動療法の専門家として多数の著書を持つほか、近著『セルフケアの道具箱』(晶文社)では、自分をケアするための100個のワークを紹介。同療法を広く活用するためのオンラインワークショップも開催している。
洗足ストレスコーピング・サポートオフィス
https://www.stress-coping.com/