• 整っている空間には、新鮮な空気が流れます。一年の始まりに、整えて運気を上げていきましょう。今回は、PONNALET主宰の江波戸玲子さんに、家をすっきり整える工夫と、運気アップの整えるポイントを伺いました。
    (『天然生活』2024年1月号掲載)

    ほどよく、ゆるく心を整えて住まいを軽やかに

    子育てが一段落した40代半ばを過ぎたころ、神奈川県葉山の高台に、ギャラリーを兼ねた家を建てた江波戸玲子さん。

    江波戸さんにお話を伺っていると「ほどよく」「ゆるく」という言葉が何度も聞かれました。

    不快にならないように整え、ある程度はルールを決めて収納しても、あくまで「ほどよく」「ゆるく」

    「完璧を目指しすぎると疲れるし、お客さまも疲れてしまうと思うから」

    そんな心がけが、この家にゆったりとした空気を漂わせてくれるのでしょう。

    そして、江波戸さんが心を動かされて集めたものが出迎えてくれることも、この場所での時間が心地よく感じられる理由かもしれません。

    ダイニングで目をひく天井のオブジェ、キッチンに置かれた張り子の作品……。

    20年以上前に鹿児島にある知的障がい者支援施設「しょうぶ学園」のアート活動を知って以来、さまざまな施設へ足を運び、自身のギャラリーで紹介してきたものたちです。

    「彼らがつくるものには意図ではなく自由さがあるんです。だから見ているだけで心がほぐれる気がします。そんなふうにこの家には自分が好きなものしかないからチグハグに見えないのかもしれませんね」

    すっきり整える
    「とりあえず」置き場をつくる

    急な来客のときにも隠したいものを置ける1畳ほどのパントリーは救世主的な場所。

    画像: パントリーに食材のストックや仕事の資料などを。開けっぱなしにできるよう、目に入る棚は布で目隠し

    パントリーに食材のストックや仕事の資料などを。開けっぱなしにできるよう、目に入る棚は布で目隠し

    「整理がつかないものはここにパッと入れちゃいます。ここは整頓できなくてもよしと割り切っています」と江波戸さん。

    画像: 来客の荷物などをとりあえずまとめて置けるかご。バサッと入れられる、平らで大きい口なのも便利

    来客の荷物などをとりあえずまとめて置けるかご。バサッと入れられる、平らで大きい口なのも便利 

    すべてを完璧にと思うと疲れてしまうもの。とりあえず片づけることも、すっきり整える秘訣といえそうです。

    すっきり整える
    ユーモアを家の中に

    江波戸さんの家のあちこちにあるアートやオブジェは、ユーモアや自由さを感じるものばかり。

    画像: 洗面所にもふとしたところにユニークな置物が。目に入ると心が和みます。横須賀・秋谷の古民家を改装したギャラリー「KURAKURA」で購入したもの

    洗面所にもふとしたところにユニークな置物が。目に入ると心が和みます。横須賀・秋谷の古民家を改装したギャラリー「KURAKURA」で購入したもの

    見れば作者の顔が思い浮かぶほど、ひとつひとつ好きで選んだものだからこそ、混在していてもしっくりなじむと江波戸さん。

    「個性の強いものは存在感があるからこそ、空間を引き締めて、まとめる力があるような気がします」

    画像: 玄関先の帽子ラックは木の枝でつくったもの。庭仕事用の帽子をかけて

    玄関先の帽子ラックは木の枝でつくったもの。庭仕事用の帽子をかけて

    すっきり整える
    ゆる〜くルールを意識する

    形や種類がさまざまなものをしまうときには、ゆるくルールを決めてすっきりと。

    画像: 無彩色に統一して器やオブジェをディスプレイ。「この棚は気分や季節に合わせて、ゆるくテーマを決め、模様替えを楽しんでいます」

    無彩色に統一して器やオブジェをディスプレイ。「この棚は気分や季節に合わせて、ゆるくテーマを決め、模様替えを楽しんでいます」

    とくにオブジェは、色別、季節別などのテーマを設けています。本や資料などは出し入れするのでジャンル別に。でも「あくまでゆるく」。

    「棚の高さの都合もあるし、きっちり決めすぎるとうまくハマらないときにイライラするので」

    画像: 脚立を中村さんにつくっていただいたことを機に、つくり付けの本棚を増設。建築、アート、小説など、棚ごとにゆるくテーマを決め収納しています。手の届く高さにはよく読む織物の本を

    脚立を中村さんにつくっていただいたことを機に、つくり付けの本棚を増設。建築、アート、小説など、棚ごとにゆるくテーマを決め収納しています。手の届く高さにはよく読む織物の本を

    運気アップの整えるポイント

    気持ちを整える絵

    画像: 気持ちを整える絵

    リビングに飾ってある絵は、画家であった祖父が描いたもの。

    「イベントが終わって、家を自分だけの空間に戻すとき、儀式のように飾ります。ベースに戻った安心感と祖父に見守られている空気感が、またがんばろうという気持ちにしてくれます」

    お気に入りのアートで出迎える

    画像: お気に入りのアートで出迎える

    玄関からすぐ目に入る場所に、鹿児島県にある障がい者支援施設「しょうぶ学園」による「ヌイ・プロジェクト」の作品を。

    針1本で縫いつづける集中力が感じられる作品に力をもらいます。

    「だから飾る位置はずっと変わっていません」

    朝・夕の感謝の儀式

    画像: 朝・夕の感謝の儀式

    葉山の高台に位置する江波戸さんの家は、2階の窓から海と富士山を望めます。朝と夕方にその景色を眺めながら一日の感謝をするのが日課に。

    「ささやかですがこういうことの積み重ねは大切にしていますね」



    <撮影/砂原 文 取材・文/竹田理紀>

    江波戸玲子(えばと・れいこ)
    「PONNALET(ポンナレット)」主宰。ラオス、カンボジアの手織り布にみせられ、オリジナル着尺、帯、小物などを自身のギャラリー「PONNALET葉山の家」や全国のイベントなどで展示販売。また、葉山の家ではさまざまなアーティストの展覧会やイベントなども開催している。http://www.ponnalet.com/

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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