栄養面は一週間単位でのんびり考える
「友の会」の講習会では、定期的に「バランスよく食べましょう」という呼びかけをしています。
昨年は、十食品群の項目表を使った、「食べたもの調べ」をご紹介。横軸には、一日に食べるとよいとされる、肉類・卵・牛乳(乳製品)・油脂類・魚介類・大豆(大豆製品)・芋類・果物・海藻類の十項目の欄が、縦軸には日にちを書き込みます。
その日に項目の食材を食べたら該当欄に◯をつけるだけの、シンプルなチェック表。全欄に◯がついていれば、「優秀な食生活を送っている」ということになります。
面白そうだと思ったわたしは、冷蔵庫にこの表を貼り付けて、一定期間やってみることにしました。
ある程度、自信のあったわたしでしたが、実際にやってみると案外バランスが悪いことにびっくり。続けてみると、わたしはどうやら比較的、芋類の摂取が少ないことがわかりました。
それがわかればあとは食べようと意識するだけで食生活は改善しますから、もうチェック表はつけていません。
それに加齢で食が細くなりつつある今、毎日十品目を食べるのはなかなか大変。食べたくないときに、無理して食べることが健康にいいのかも、疑問です。
そこでわたしは、「一日では摂れなくても、一週間で見たら大体食べているでOK」と、のんびり構えることにしています。
具体的には、主食にお野菜がいっぱい入った汁物、それにお肉かお魚の献立が一日一食あればいい、というゆるいルール。プラス、女性なので、大豆たんぱくを意識して。これには、まとめてつくっておいた煮豆のほか、納豆、冷や奴が手軽で役に立ちます。
わたしは、基本、朝昼晩と三食いただきますが、主食はそのうち二食しか食べないことにしているので、夜は主食を摂らないことが多いです。
「友の会」では、野菜の必要量を重量で考えるので、野菜不足を感じたら、葉野菜などの“軽い野菜”よりも、かぼちゃなどの“重たい野菜"を積極的に摂るように意識します。
ちなみに一日に必要な野菜の量は350グラムとされています。大きなトマトなら大体一個で、きゅうりなら約三本でそのぐらいの分量。
もちろんいろいろな種類の野菜を摂った方がいいですが、多忙で野菜が不足しがちなわが息子には、「大きなトマトを一日一個、もしくはきゅうりを毎食一本ずつ食べたらいいよ」と話しています。
ざくざくと適当に切った野菜をたっぷり入れ、お肉を加えたスープも簡単で取り入れやすいはず。
毎日のことだからこそ、厳しいルールを守れなくて一切を諦める結果になるより、まずは自分でもできそうなやさしいルールから始めて長く続けられる方が、断然いいと思います。
大豆はまとめて煮てストック「大豆の赤ワイン煮」のつくり方
植物性のたんぱく質も意識して。とくに大豆は女性の味方。まとめて煮ておきます。
「友の会」で食べた大豆の白ワイン煮を、赤ワインでアレンジ。甘みと酸味がバランスよく、煮汁を吸ったレーズンの食感も楽しい。
材料(つくりやすい分量)
● ゆで大豆 | 1カップ |
● 赤ワイン | カップ |
● レーズン | 1/4カップ |
● 砂糖 | 20g |
● しょうゆ | 小さじ1 |
つくり方
鍋に材料をすべて入れて中火にかけ、煮立ってきたら弱火にして15~20分ほど煮る。保存容器に入れて冷蔵庫で保存する。
※保存期間は約5日
本記事は『さあ、なに食べよう? 70代の台所』(扶桑社)からの抜粋です
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人生の新しいステージで、前を向くためのヒント集
53歳で夫が急逝、子どもが独立してひとり暮らしになった料理家の足立洋子さん。喪失と向き合いながら、寂しさを癒やし、ふたたび前を向けるようになった50代。料理のスーパー主婦として出演した『あさイチ』(NHK)で大ブレイク、活躍の場が一気に広がった60代。そして72歳の今、気力ががくんと衰える「70代の壁」に直面。自分の気持ちを引き上げるのは自分しかいない! と奮起する足立さんの日々の食事や家事には、ごきげんをつくり出すヒントが満載です。料理をするのがおっくうな日も手軽に作れる簡単レシピや、日常の中に新たな楽しみを見つける心がまえ、家族や周囲の人との付き合い方……等身大の魅力にあふれたライフスタイルを一冊に。
〈撮影/山田耕司(扶桑社)文/遊馬里江〉
足立洋子(あだち・ひろこ)
料理家。1951年生まれ、北海道函館出身。自由学園最高学部卒業。雑誌『婦人之友』の読者が集う、「全国友の会」で、料理講師を四十年以上務め、2011年にはNHKの情報番組『あさイチ』で料理のスーパー主婦として出演。自身がモットーとしている“かんたんおいしい”料理を多数紹介し、大好評を博す。以降、講習会のみならず、書籍や雑誌、テレビやWebなどのさまざまな媒体で、料理が苦手な人の食卓を助ける手軽でおいしい料理を伝え続けている。
インスタグラム:@hirokoa1208