• 仏教の教えをヒントに、自分を見つめてみませんか? 新しい年にも役立つ、日々の心がけを、僧侶で著述家の草薙龍瞬さんに教わりました。今回は、「将来の不安」や「人をうらやむ妬み」に振り回されない生き方のヒントについて伺います。
    (別冊 天然生活『心と体が若返る小さな習慣』より)

    満たされて暮らす新しい心のあり方

    「ブッダの教えは、私たちのあらゆる悩みを解消するための、実用的な“思考法”です。日々の心がけで身に着けることができます」

    仏教の本質を伝えている草薙龍瞬さんによれば、仏教における「幸せ」の定義は、とてもシンプルです。幸せとは「快」であり、喜びを感じている状態をいいます。

    おいしい、楽しい、心地よい。そういった快の状態を増やしていくことが、幸せにつながります。

    ところが、人間にはもともと「求める心」が備わっており、それが生きることのエネルギーになっているため、ともすれば求めつづけてしまうのだそうです。

    「もっと、もっと」が生じると、欲求が満たされず、心が「不快」になります。それは「不幸」な状態です。

    欲求は、本来ならば「快」をもたらすもの。もしもいま、自分の心にあせり、不安、不満、怒りなどの「不快」が生じているとしたら、「求めすぎている」のかもしれません。

    そこにはきっと、知らぬ間に抱えている「執着」があるはずです。

    「大切なのは、欲求をもってはいけないと抑え込むのではなく、『人間はそういう生きものだ』と理解することです」と草薙さん。

    軽やかな心でいるために、2500年前から受け継がれているブッダの教えをお伝えしていきます。

    満たされない心は、観察して距離を取る

    画像: 満たされない心は、観察して距離を取る

    もっとがんばらなくてはというあせり、将来に希望がもてない不安、わかってもらえない不満、人をうらやむ妬み......。

    これらはすべて「満たされない心」によって生じたもの。

    人の心は求めつづけるために、次から次へと欲求が生まれ、満たしきれない悪循環に陥ります。

    なかでも切実なのは「承認欲求」です。「愛されたい」という素朴な欲求は、褒められたい、尊敬されたい、人に勝ちたい、地位が欲しい......と、エスカレートするにつれて人生を難しくします。

    まずは、「人の心は求めつづけるものだ」と理解する。

    そのうえで自分を観察すると、「いま、私は承認欲求が満たされていないから苦しいんだ」と、求めつづける心から距離が取れるようになります。

    悩みとは、心の「反応」。合理的に対処する

    画像: 悩みとは、心の「反応」。合理的に対処する

    人間関係にイライラしたり、先のことを心配したり、自分はダメだと落ち込んだり。そういった悩みは「心の反応」から始まっています。

    たとえば、仕事でミスをした場合、間違えたのは事実だとしても、それによって落ち込むのは「心の反応」なのです。

    「自分はダメだ」という思い込みは、自分の心が反応してつくり出しているもの。実態ではなく、いわば妄想にほかなりません。

    周囲にどう思われただろうか、この仕事は向いていないんじゃないか......などとさらなる妄想を広げがちですが、ミスした事実は変えられないし、悩みが増えて苦しいだけ。

    それよりも、ミスを片づける、対策を施すなど、目の前にある「自分にできることをする」のが合理的です。

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    別冊天然生活 心と体が若返る小さな習慣 (扶桑社ムック)

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    <監修/草薙龍瞬 構成・文/石川理恵 イラスト/しまむらひかり>

    草薙龍瞬(くさなぎ・りゅうしゅん)
    宗派に属さず、仏教の本質を伝えている僧侶。興道の里で仏教講座を開催。『反応しない練習』(KADOKAWA)、『大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ』(筑摩書房)、『消えない悩みのお片づけ』(ポプラ社)など累計著書が30万部を超える。日々に役立つ仏教についてブログでも発信。https://genuinedhammaintl.blogspot.com/

    ※記事中の情報は、別冊天然生活『心と体が若返る小さな習慣』掲載時のものです



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