• 『天然生活』誌上に、2012年11月号から2014年3月号まで掲載された、人気連載「松田美智子の季節の仕事」。その中から、「かき」を取り上げた記事を紹介します。今回は、かきのうま味を凝縮した「オイスターソース」をつくります。
    (『天然生活』2013年2月号掲載)

    かき | 11月~

    かきはお酒を吸わせて旨味たっぷり  松田美智子

    “海のミルク” といわれるほど、滋味に満ちた、かき。生でも、さっと焼いても、フライにしても抜群です。でも、松田さんは、それだけではもったいない、独特のうま味をオイル漬けやオイスターソースに閉じ込めて、もっと楽しんでみませんか、と話します。

    「手づくりオイスターソースは、市販品とはひと味異なる、極上の天然エキスです」

    まず気をつけたいのは、かきの選び方です。加熱用と生食用とでは、後者の鮮度がよいと誤解されがちですが、その違いは除菌の方法。生食用は殺菌した海水で洗うので、うま味も流れてしまいます。だから、今回のような加工品には、必ず加熱用を使います。

    そして次のポイントが洗い方です。粗塩に汚れを吸わせてから、流水の中でふり洗いするのがコツ。そして、ゆっくり酒にひたしてうま味を吸わせれば、準備完了です。

    オイスターソースは、中国料理の炒めものや煮ものに欠かせません。

    「もともと大好きな調味料なんです。あるとき三陸のかきの取材に行き、むき損じたかきを煮つめて自家用のオイスターソースをつくっているところに立ち会いました。シンプルに煮つめるだけなのですが、それがおいしくて。市販品はカラメルなどで色づけすることが多いのですが、自家製なら、水飴を少々加えて濃度を出すくらいで十分。いとおしくなるほどのうま味です」と松田さん。

    青菜炒めに、白菜と豆腐の煮込みに、ひとふりすれば、ぐっと深い味わいになります。

    残った身は捨てないで。コロッケにしたりグラタンにしたり、用途はいろいろ。冬の寒さとともに滋味を増すかきで、ぜひ試してみてください。

    オイスターソースのつくり方

    かきをじっくりじっくり煮つめて凝縮させた珠玉のエキス。簡単に、驚くほどのうま味をもった調味料ができ上がります。冷蔵庫で2週間ほど保存可能です。

    画像: オイスターソースのつくり方

    材料(つくりやすい分量)

    ● 粗塩で洗ったかき500g
    ● 酒1/2カップ
    ● 赤とうがらし(種を除く)1本
    ● ナンプラー大さじ1くらい
    ● 水飴小さじ1~大さじ1

    つくり方

     洗ったかきを酒にひたし、20分おいて酒とともに土鍋に移し、赤とうがらしを加え15~20分、中火で加熱する。

    画像1: つくり方

     の鍋からかきの身を取り出し、すり鉢ですりつぶす(の煮汁はとっておく)。内臓がつぶれることによって、ぐっとうま味が深くなる。

    画像2: つくり方

     つぶしたかきを土鍋に戻し、の煮汁、ナンプラーを加えて弱火で20分ほど、ときどき混ぜながら加熱する。

    画像3: つくり方

     キッチンペーパーでこし、汁と身に分ける。汁を小鍋に移し、甘さの加減をみながら水飴を加え、2/3量まで煮つめる。

    画像4: つくり方


    <料理/松田美智子 撮影/川村 隆 取材・文/小松宏子>

    松田美智子(まつだ・みちこ)
    日本料理をベースにした家庭料理の教室を主宰。鎌倉で育った子ども時代から身近だった四季の保存食づくりをベースに、現代の生活でも無理なくできる、季節の食の楽しみを提案。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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    天然生活の本『季節の仕事』(松田美智子・著)
    天然生活の本
    『季節の仕事』(松田美智子・著)

    天然生活の本『季節の仕事』(松田美智子・著)

    A5判
    定価:本体 1,400円+税
    ISBN978-4-594-08481-3

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