毎朝つくるお弁当の、本物の雰囲気を表現したい
野口さんのお弁当は、大切な娘さんのことを考えて、つくり置きはせずに毎日朝につくります。こう書くと、まねするのが難しいお弁当に思えますが、おかずを3品に絞って、ご飯に載せるだけというルールにすることで、誰でも簡単に、慣れれば15分でつくれるお弁当になりました。
衛生面にも注意してします。
「食材には絶対に火を通します。そして手では触れません。温かいご飯におかずを載せるので、雑菌が増えたらたいへんですから」というように、心が込められています。
写真を撮影してくれたのは、カメラマンの馬場わかなさん。
野口さんが毎朝つくっているお弁当であることを、写真でも表現しようと、太陽の光を当てて、朝のさわやかな雰囲気を表現しようとしてくれました。でも、どうしてもお弁当箱の強い影が入ってしまい、デザイナーさんが考えている、写真に文字を乗せるデザインにすると、影にかかった文字が読みにくくなってしまいます。
そこで、記事で使う写真は、太陽の光を薄い布で弱めて、強い影が出ないように撮影してくれました。
あきらめきれずに、別カットに挑戦
通常の撮影なら、これで十分。
でも、「やっぱり野口さんが毎朝つくっている雰囲気を出したい」ということで、記事用の写真とは別に、表紙用にもお弁当を撮影することになりました。もちろん、表紙に採用されるかどうかは、まったくわかりません。
どのお弁当を表紙にしたいか、野口さんと馬場さん、そして現場のスタッフが考えて、最初に撮ったのは、彩りも華やかな「えびとほたてのケチャップ炒め弁当」でした。
野口さんがお持ちの、緑が鮮やかなギンガムチェックの布を敷いて、表紙らしい華やかさも出してみました。
それが下の写真なのですが、いかがですか?
現場でも、「いい写真が撮れた!」と盛り上がっていたのですが、せっかくだから、「もうひとつのお弁当も」ということになり撮ったのが、今回表紙に選ばれた写真です。
「しらすと細ねぎの玉子炒め」、コロンと3つ並んだ「鶏つくねの甘辛焼き」、そして「レンチンアスパラの味噌ごまあえ」が乗っかったお弁当が、だんだん人の顔に見えてきて、それがなんとも愛らしく、そして力強さも感じられます。気が付くと、野口さんと馬場さん、その場にいたスタッフも、満場一致で「こっちの写真がいい!」となっていました。
とはいえ、表紙写真の選定は激戦です。
撮影現場では実は、「表紙用に撮影しても、なかなか選ばれないですよね(笑)」という声も上がっていましたが、選定のたびにこの写真が残り、ついに4月号の表紙に選ばれました。
『天然生活』4月号をお手に取られましたら、表紙とP.46の同じお弁当の写真の、光の違いを是非確かめてみてください。
※ 野口さんの記事「15分でできる、のっけ弁当」は、『天然生活』2020年4月号、P.44~49に掲載されています。