藤井小牧・著『カフェ風精進料理 こまき食堂』より
はちみつしょうが寒天のつくり方
しょうがの辛味がアクセントになる和風デザート。甘さ控えめなので、好みでシロップをかけて。
材料 (4個分)
● はちみつ | 100ml |
● しょうがのしぼり汁 | 50ml |
● 粉寒天 | 5g |
● 水 | 400ml |
● 〈シロップ〉 | |
・はちみつ | 20ml |
・水 | 50ml |
つくり方
1 粉寒天と水を鍋に合わせ、木べらでよく混ぜる。はちみつとしょうがのしぼり汁を加え、全体をさらに混ぜ合わせてから火にかける。
2 沸騰したら型に流し込み、粗熱を取ってから冷蔵庫に入れる。
3 シロップの材料を鍋に合わせて煮溶かし、粗熱を取っておく。
4 冷やし固めた2を冷蔵庫から取り出し、型から出して器に盛り、3のシロップをかける。
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精進料理の甘いもの
精進料理の甘いものは、もちろん卵やバターを使いません。そこで大活躍するのは、和菓子の代表である、あんこ。よく考えてみると、昔から食べられているあんみつやところてんなど、和菓子のほとんどが精進料理として通用するものばかりです。
また、精進料理のルールに則って洋菓子をつくることもできます。バターではなく米油などの植物油を使い、牛乳でなく豆乳を使います。隠し味にしょうゆや味噌を加えれば、やさしいコクやアクセントになり、どこか軽やかで、ちょっぴり和洋折衷な仕上がりになります。
精進料理というと、どうしても禁欲的なイメージを持たれる方も多いとは思うのですが、本当はとてもおおらかなもの。食べたいものを無理に我慢する必要などありません。
精進料理の考え方
1 五味・五色・五法
五味は、「甘・塩・酸・辛・苦」、五色は「黒・白・赤・黄・青(緑)」、五法は「生・煮る・蒸す・揚げる・炒める」を表します。この、五味・五色・五法を効果的に組み合わせることによって、栄養がととのい、バランスのよい食事をつくることができるのです。また、見た目も美しく、食べる側も楽しい気分になります。
2 「身土不二(しんどふじ)」
人間は自然の中の一部であり、自然環境の中で生かされています。その土地に生きる生物は、その土地で得られる食物を食べることで、その地で生きるための適応力を身につけているという法則が、この「身土不二」です。また、住んでいる土地、地域に身近な産物を大切にするという、「地産地消」を勧める言葉でもあります。
3 「旬」のものを食べる
旬の野菜や山菜にはパワーがあります。旬の時季にはどの野菜も最もエネルギーを蓄えているので、その季節に人間が一番必要とする栄養素や元気をもらうことができるのです。たとえば冬の根菜類は体を温め、夏の瓜類は熱を冷ます効果が。また、旬の野菜はその季節だけでなく、次の季節に合う体をつくります。
4 「一物全体(いちもつぜんたい)」
精進料理の調味料は控えめです。天地の恵みである農産物を大切にし、その素材の持ち味を十分に生かすことが、調理の基本だからです。また、野菜などは丸ごとすべてを使い切ります。命あったものを大事にして粗末にしない考えの根本は、殺生しないことと関連しており、何ひとつ、むだにしないことにつながります。
5 追いかけて逃げるものは食べない
精進料理では、魚も肉も口にしません。何を食べ、何を食べないのか。その簡単な見分け方のひとつが、「追いかけて逃げるものは食べない」です。動物不殺生は、精進料理の基本中の基本。そのこともあり、精進料理のだしにはかつお節が使われることはなく、昆布としいたけなどのきのこが使われているのです。
<料理/藤井小牧 撮影/川村 隆 取材・文/福山雅美>
藤井小牧(ふじい・こまき)
東京・秋葉原にある「カフェ風精進料理 こまきしょくどう」店主。臨済宗僧侶であり、精進料理家としても知られる藤井宗哲氏と、精進料理家の藤井まり氏との間に生まれ、幼いころより精進料理とともに育つ。現在はお店に立つかたわら、東京の生産者・加工業者を応援する活動「メイドイン東京の会」にも参加している。2020年3月に『こまき食堂』(扶桑社)が発売。
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こまきしょくどう
東京都千代田区神田練塀町8-2
TEL.03-5577-5358