余生を穏やかに過ごさせてあげたい
リタイア犬について、野田さん家族に取材をさせていただくことになったきっかけは一枚の読者アンケートハガキから。
盲導犬の引退犬をボランティアで引き取っています。
余生をおだやかにすごさせてやりたい。
何年もの間ユーザーさんと共に生きてきたワンコ。
3年になりますが日々どうしたらよいのか迷いもあります。
引退犬を引きとられた方々の日々の暮らしのわかる企画をお願いします。
雑誌で取り上げてほしいことを記入する欄に、びっしりと温かいメッセージが書き込まれていました。
野田さんの家では、引退したラブラドール・レトリバーのほかに保護犬の里親で迎えたミニチュアプードルが暮らしており、過去にも里親で引き取ったゴールデン・レトリバー、鳥やカメなど、常に多くの動物たちと生活を共にしてきていたといいます。
「どの子もですが、家族の一員として、人生の最後を迎える時までゆっくりと過ごさせてあげたいんですよね」
野田さん家族が、動物に関するボランティア活動に積極的なのは、人間と同じように一匹一匹の一生に寄り添い豊かなものにしたいという愛情に溢れたものでした。
引退犬と新しい暮らしを始めてみて
長年、引退犬の飼育ボランティアに関心のあった野田さん家族は、一緒に暮らしを共にしていたゴールデン・レトリバーを看取った後に、日本盲導犬協会が行っていた募集に応募します。
その3年後に、リタイア犬のラブラドール・レトリバーが紹介されました。受け入れ先として、適正かどうかを確認するひとつに、野田さん家族と暮らすミニチュアプードルとの顔合わせがあったそう。
「リタイア犬を受け入れる条件に‟家の中で生活をさせる“ということがあるので、すでに暮らしていたミニチュアプードルとの相性が良くなければ引き取るのは難しかったと思います。このミニチュアプードルは、とても活発な子で大丈夫かどうかドキドキしていたのですが、実際に会わせてみるとお互いになんともなくて。相性がよかったんだ、とホッとしました」
リタイア犬を迎え入れて、今年で4年目を迎えます。盲導犬として過ごしていた時間が長ったこともあり、野田さん家族が今までに生活してきた犬たちとはまったく違う、あまりの落ち着きぶりに戸惑うこともよくあるそう。
「余生は、一匹の犬として暮らしてほしい。そのために、私たちができることはしていきたいなって」
一生を終えるその日まで、野田さん家族は受け入れた犬にとって心地のいい時間と環境になるため、試行錯誤を繰り返しながら今日もおだやかにゆったりと過ごしています。
犬を飼いたいと思ったときに、ペットショップで「買う」だけでなく、保護犬を「迎える」という選択肢もあるということを広く伝えたい。そんな思いから生まれた1冊です。
保護犬を実際に迎え入れた方々の、ありのままの暮らしを楽しく伝えることで、保護犬たちの魅力を伝えるとともに、少しでも保護犬を迎えるきっかけとなればと願っています。