(『愛犬との幸せなさいごのために』より)
食べないときの命の食料
愛犬がごはんをほとんど食べられなくなって、何でもいいから口からエネルギーになるものを食べてほしいときは、手軽に入手できる人間用の食べ物が役立ちます。高エネルギーで消化がよく、少しでも犬が喜んで食べてくれるものを見つけましょう。
何も口にしてくれないことが増えてきて、「口から食べてくれることが優先」という時期に入ってきたら、こんなものを与えてみて。
卵系の食べ物
卵は、良質なたんぱく質やビタミン、ミネラルをはじめ、必要不可欠な成分がバランスよく含まれる「完全栄養食」。カステラ、カスタードプリン、茶碗蒸し、ロールケーキなどはコンビニやスーパーでも購入しやすく、好む犬が多い。
あずき系の食べ物
あずきは、良質なたんぱく質や豊富なビタミン類、カリウム、リン、鉄、食物繊維などが幅広く含まれ、昔は薬としても使われていたそう。おしるこや水ようかんは、そしゃくが難しい犬にも、シリンジを使っても与えやすい。
大豆系の食べ物
たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなど栄養素の種類が豊富で、含有量も多く、消化吸収率も高い。駄菓子の定番、きなこ棒は固すぎず柔らかすぎず犬にも人気。胃腸に優しい葛ときな粉を摂れる葛餅もおすすめ。
肉・魚系の食べ物
食べられるようなら、少量でも高エネルギーでたんぱく質の豊富な肉や魚を、嗜好性を高める工夫をして与えたい。油で焼くと脂質も摂れて、香り高くなる。鶏モモやレバーなどの焼き鳥を、串から外して与えるのもいい(できれば塩抜きでオーダーを)。
<挿絵/わたなべとしふみ>
本記事は『愛犬との幸せなさいごのために』(河出書房新社)からの抜粋です
俵森朋子(ひょうもり・ともこ)
鎌倉にある、愛犬の体に優しいフードやケア用品、オリジナルグッズなどを扱う『pas à pas(パザパ)』店主。インテリアテキスタイルデザイン&企画の仕事に20年近く従事した後、1999年に友人とともに『ドッググッズショップ シュナ&バニ』を立ち上げる。2012年、もっと犬の体にいいことをしたいとpas à pasをオープン。食事療法インストラクター、ペット薬膳管理士の資格を取得し、現在は『manpucu garden(まんぷくガーデン)』として、手作りごはんのワークショップやカウンセリングも行う。『犬ごはんの教科書』(誠文堂新光社)など著書多数。