• 東西にも南北にも長い日本、ところ変わればお弁当の中身もガラリと変わります。北の味、南の景色を知りたくて、沖縄県在住の根本きこさんに、故郷弁当、地元ごはんをつくっていただきました。お弁当づくりを始める方、お弁当のマンネリに悩む方のヒントになるはずです。
    (『天然生活』2021年4月号掲載)

    島の食材勢ぞろい、元気な味を詰め込んで

    画像1: 島の食材勢ぞろい、元気な味を詰め込んで

    竹皮のお弁当かごに月桃の葉を敷き、まんなかにまん丸の白ごはん、周りを囲むのは島の食材を使ったおかずたち……。

    根本きこさんのお弁当は沖縄そのもの。熱のこもった風が吹いてくるようです。

    画像2: 島の食材勢ぞろい、元気な味を詰め込んで

    沖縄に暮らして10年。このごろやっと、沖縄の食材になじめるようになってきたと話します。

    「内地とは土から違うので味が全然違う。香りや風味も強くパワフルなんです。毎日、実験のような感覚で料理をしていました」

    そんな「実験」を繰り返し、沖縄食材の個性に寄り添う料理を、会得してきました。今回のお弁当は、そんな沖縄食材の個性を自在に操ったおかずばかり。

    たとえば島にんじん。細長く薄い黄色をしていて、ごぼうのような土っぽい味がする沖縄の在来種です。たっぷりの卵と炒めて、まろやかさを加えます。

    ゴーヤーは内地のものより苦みがさらに強いそう。「しっかりと揚げたり、味付けを濃い目にしたり工夫することで苦みに負けないおいしさを引き出せるの」ときこさん。

    かたくしっかりした島豆腐も沖縄に住んで大好きになった食材。

    「普通のお豆腐と違って、温かい状態で販売できるんです。タイミングが合えば、アチコーコー(沖縄の方言であつあつの意)のできたてが食べられます。ずっしりとした食感で水切り不要、ボリュームたっぷりのおかずになります」

    画像: 元木工所を1年ほどかけて自分たちでリノベーションしたカフェは、オープンで自由な空気感。竹皮かご入りのお弁当は、店内営業自粛中に販売していたことも

    元木工所を1年ほどかけて自分たちでリノベーションしたカフェは、オープンで自由な空気感。竹皮かご入りのお弁当は、店内営業自粛中に販売していたことも

    お弁当はどんなときにつくっていますか? の問いには「毎週火曜日の牧場弁当!」と高らかに返答。聞けば、子どもたちが通う牧場の学校で火曜日の昼食を担当しているのだとか。スタッフ含め15人分をつくって持参します。

    「午前中、目いっぱい体を動かして、『おなかすいた~』って食べるお弁当は本当においしい。もっぱら野外で食べています」

    島豆腐の豚肉巻きのつくり方

    やわらかな味の豆腐を豚肉で巻いて、コクとうま味をプラスしました。

    画像: 島豆腐の豚肉巻きのつくり方

    材料(つくりやすい分量)

    ● 島豆腐1/2丁(500g)
    ● 豚肉(しゃぶしゃぶ用)150g
    ● 片栗粉適量
    ● A
    ・しょうゆ大さじ1
    ・きび砂糖小さじ1
    ・しょうがのしぼり汁少々
    ● サラダ油適量

    つくり方

     島豆腐は2cm幅に切る。

     豚肉は片面に片栗粉をはたき、片栗粉がついたほうを内側にして豆腐を巻く。

     油をひき中温に熱したフライパンで、を両面きつね色に焼く。

     余分な油をキッチンペーパーなどでふき取り、合わせたを回しかけ、全体に味がなじむようにからめる。

    ※島豆腐が手に入らなければ、普通の木綿豆腐を10分ほどゆでて水切りする。

    ゴーヤーの揚げびたしのつくり方

    揚げて、苦みをおいしさに変換。栄養豊富なワタや種ごといただきます。

    画像: ゴーヤーの揚げびたしのつくり方

    材料(つくりやすい分量)

    ● ゴーヤー中1本
    ● A
    ・黒酢大さじ3
    ・しょうゆ大さじ3
    ・きび砂糖小さじ2
    ● サラダ油適量

    つくり方

     ボウルにを入れ、混ぜる。

     ゴーヤーは種ごと幅1cmほどの輪切りにし、中温の油で周りがカリッとするまで揚げ、のボウルに入れて味をなじませる。

    島にんじんシリシリのつくり方

    シリシリ器を使っておろすと、断面がギザギザになり味がよくなじみます。

    画像: 島にんじんシリシリのつくり方

    材料(つくりやすい分量)

    ● 島にんじん(なければにんじんで代用可)2本
    ● 卵2個
    ● 塩小さじ1/2
    ● サラダ油少々

    つくり方

     島にんじんはせん切りにする(シリシリ器があれば、シリシリ器を使用)。ボウルに入れ、塩ひとつまみ(分量外)を加えもんでおく。

     ボウルに卵を溶きほぐし、塩を加え混ぜる。

     フライパンに油をひき、を大きくかき混ぜながら炒め、皿に取る。

     同じフライパンでにんじんを炒め、しんなりしたらを加え、ざっくり混ぜる。


    〈撮影/西郡潤士 イラスト/はしもとゆか 取材・文/鈴木麻子〉

    根本きこ(ねもと・きこ)
    フードコーディネーター。2011年から沖縄で暮らす。沖縄県今帰仁(なきじん)にてカフェ「波羅蜜(パラミツ)」を夫の潤士さんと営む。店名の「波羅蜜」とは沖縄の方言で、ジャックフルーツのこと。近著に「カレー、ときどき水餃子」(KADOKAWA)。
    インスタグラム:@paramitajunji

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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