• 82歳でもなお元気。朝から晩まで働く「梅おばあちゃん」こと、乗松祥子さん。梅に寄り添い、ささやかな発見を慈しみながら心豊かな日々を送っています。乗松さんのとっておきの梅ジュースのつくり方を教えていただきました。
    (『梅おばあちゃんの贈りもの』より)

    ロックフェスで人気の梅ジュース

    音楽系の出版社、ロッキング・オン・ジャパンが主催するロック・フェスティバルには、代表取締役を務める渋谷陽一さんとのご縁で出店させていただいてきました。

    なぜ、梅干し屋さんが出店を? と思うでしょう。過酷な夏のロック・フェスティバルに抗菌作用と夏バテ予防効果のある梅干しを、ということから声をかけていただき、梅干しや梅製品を使ったメニューをご用意させていただいています。

    特に梅ジュースは、根強いファンが多い人気商品です。喉を潤すだけでなく、疲労回復や熱中症予防になる梅のクエン酸効果を、お客様が無意識にキャッチしていらっしゃるのかもしれません。

    今では親子で来てくださる方もいらっしゃいます。先人の知恵から生まれた梅ジュースが、時代や世代を超えて愛されているのを見ると本当にうれしくなります。

    ここでは渋谷さんも好んで飲まれている、すっきりとした甘さと酸味の梅ジュースのつくり方をお伝えします。

    画像: 渋谷陽一さんとは30年来のお付き合いです。梅ジュースもその頃から、ご本人いわく、お水代わりに飲んでくださっているそうです

    渋谷陽一さんとは30年来のお付き合いです。梅ジュースもその頃から、ご本人いわく、お水代わりに飲んでくださっているそうです

    1kgの黄熟梅や完熟梅で1Lの梅ジュースをつくる

    冷凍した梅を使い、氷砂糖と三温糖、蜂蜜の甘さのハーモニーで、完熟梅の爽やかな甘さと風味を引き出します。リンゴジュースなどに少量加えると一層おいしくなります。

    殺菌効果、味のバランスを考え、糖分は梅の2分の1強の量をおすすめしますが、つくるのに慣れてきたら砂糖の種類や量の割合はご自分でアレンジしてください。

    梅ジュースで使った梅は、もう一度使って2回目のジュースをつくってもいいですし、そのまま食べたり、ジュースで煮詰めてジャムをつくったりしてもおいしいです。

    画像: 梅ジュース(右)と梅ジュースで使った梅(左)。お好みで結構ですが、私は梅ジュースを3倍の水で薄めて飲んでいます

    梅ジュース(右)と梅ジュースで使った梅(左)。お好みで結構ですが、私は梅ジュースを3倍の水で薄めて飲んでいます

    梅ジュースのつくり方

    用意するもの

    ● 保存袋
    ● バット
    ● 保存瓶(1.5L用)

    材料

    ● 黄熟梅または完熟梅(無農薬や減農薬のもの)1kg
    ● ホワイトリカー(梅の洗浄用)500mL
    ● ホワイトリカー(保存瓶の消毒用)スプレーで瓶全体に行きわたる量(100mL目安)
    ※ホワイトリカーはアルコール度数35度
    ● 生蜂蜜200g
    ● 三温糖200g
    ● 氷砂糖100g
    ● オレンジリキュール(お好みで)大さじ2

    下準備

     梅を洗う

    梅をボウルなどに入れ、傷つけないように40℃くらいの湯を流しながらよく洗う。

    *ここでは青梅を使っています。洗い方は青梅も完熟梅も同じです。

     ホワイトリカーで洗う

    湯では取れない脂性の汚れはホワイトリカーで落とす。軽く水けを切った梅をホワイトリカーを入れた器に移し、梅を揺らすか手で転がしながら数回に分けて洗い、軽く乾かす。

     ヘタを取る

    ようじや竹串を使い、梅の実のヘタを丁寧に取る。

    つくり方

     梅を冷凍する

    下準備を済ませた梅を保存袋に入れ、冷凍庫へ入れて1~2晩おく。

     三温糖をまぶす

    バットに三温糖と冷凍した梅を入れる。梅を転がしながら三温糖をよくまぶす。

    画像1: つくり方

     保存瓶に詰める
    ホワイトリカーで保存瓶を消毒する。保存瓶の内側全体と底に三温糖をふり、梅を半分ほど入れる。氷砂糖を入れ、残り半分の梅を入れる。

    画像2: つくり方

     三温糖でふたをする

    保存瓶にふたをするように残った三温糖を入れ、生蜂蜜を流し入れる。カビを防ぐために上からごく軽くスプレーでホワイトリカーを吹き付けてから、ふたを閉める。1日に2〜3回ゆっくりと瓶をゆすりなじませる。果汁が上がってきたら好みでオレンジリキュールを入れる。2週間ほどで梅ジュースが完成。好みの量のお湯や炭酸水で割って飲む。

    画像3: つくり方

     2回目のジュースの取り方

    梅を取り出し清潔な保存瓶に入れ、砂糖などの甘みを総量で400gにし、梅、砂糖、梅、砂糖とミルフィーユ状に重ね、と同様にする。取り出した梅はそのままお茶請けにしたりジャムにしたりできる。


    本記事は『梅おばあちゃんの贈りもの』(誠文堂新光社)からの抜粋です


    画像4: つくり方

    乗松祥子(のりまつ・さちこ)

    1940(昭和15)年愛媛県生まれ。茶懐石料理店「辻留」銀座店に20余年勤務したのち、鎌倉・小町通りの日本料理店「味路喜」の責任者を務める。その後、代官山に日本料理店「延楽」を開店。現在は杉田梅専門店「延楽梅花堂」を経営している。「辻留」時代に100余年前の梅干しを譲り受けたことがきっかけで、梅仕事を始める。「幻の梅」といわれる野梅系の杉田梅に出合い、梅に一生を捧げることを誓う。現在まで50年以上に渡って梅仕事を続けている。杉田梅を未来につなげるために、「杉田梅を守り育てる会」の主幹を務め、自身でも梅の木の保全活動や植樹などを行っている。最新著書『梅おばあちゃんの贈りもの』(誠文堂新光社)が発売中。

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    82歳でもなお元気。朝から晩まで働く梅おばあちゃんこと、乗松祥子さん。梅に寄り添い、ささやかな発見を慈しみながら、心豊かな日々を送っています。乗松さんの春夏秋冬の梅仕事を追いながら、毎日の食事から、梅の健康効果、幻と言われた杉田梅のこと、好奇心の持ち方、大切にしていること、白洲正子さん、樹木希林さんらとの交流などについて綴った本ができました。

    秘伝の梅干し、梅肉エキス、梅酒、梅ジュース、梅ジャムの作り方をはじめ、梅酢を使った料理レシピも掲載しています。家族ぐるみで付き合いのあった文筆家・内田也哉子さんとの対談も収録。梅仕事に興味がある方はもちろん、日々の暮らしを大切にしたい方、これからの人生のヒントがほしい方にもおすすめの一冊です。



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