(『天然生活』2021年11月号掲載)
師匠の味を受け継ぎながら進化を続ける、王道家庭料理
「どれも、ふつうの料理でしょう」と笑う本田明子さん。いもに肉のうま味がまとわり、ホクホクの肉じゃが。肉汁を吸ったしらたきはたまらない味です。
本田さんの師匠は、小林カツ代さん。32年間、最期のときまで背中をみてきました。だからこそ、すべての料理のベースに、カツ代さんの存在があるといいます。
「料理にはおいしくなるコツがあり、道理を知れば、だれでもおいしくつくれるようになります。師匠から受け継いだ知恵を伝授しますので、ぜひ、家族から何度もリクエストされるような味に育ててください」
しらたき入り肉じゃがのつくり方
ポイントは、牛肉をほぐしてから鍋に入れること。肉に直接味をつけること。じゃがいもは表面だけに味をつけて。肉汁を吸ったしらたきのおいしさは格別です。
材料(3~4人分)
● じゃがいも | 3個(400g) |
● 玉ねぎ | 1/2個(100g) |
● 牛切り落とし肉 | 150g |
● しらたき | 小1袋(100g) |
● さやいんげん | 50g(5本位) |
● サラダ油 | 小さじ2 |
A | |
・砂糖 | 大さじ1と1/2 |
・酒 | 大さじ2と1/2 |
・しょうゆ | 大さじ2と1/2 |
● 水 | 300ⅿL |
つくり方
1 玉ねぎは1cm幅に縦に切る。さやいんげんは、長さを2~3等分に切る。しらたきは流水でよく洗って、食べやすい長さに切る。じゃがいもは皮をむいて、大きめのひと口大に切る。牛肉は冷たい状態のうちに空気を入れるようにほぐしておく。
2 鍋にサラダ油をなじませ、玉ねぎを強めの中火で炒め、全体が熱々になったら、肉を鍋底の真ん中に置く。火加減を少し弱めてから、肉めがけてAの調味料を、上から順に加える。
3 2の鍋を強めの中火にして、3分ほど煮て、肉がしょうゆ色になったところに、しらたきを加えひと混ぜする。じゃがいもと分量の水を加え、表面を平らにして、一番上に、さやいんげんをポンとのせ、ふたをして10分煮る。
4 竹串をさして、いもに火が通れば、さやいんげんを取り出して、全体を混ぜる。ふたをして火を止め5分位おく(この5分はじんわり味がしみこむ大事な時間)。器に盛り、さやいんげんをのせる。
小さな工夫
左)鍋底のどまん中にほぐした肉を置き、肉めがけて調味料を砂糖から入れていく。右)じゃがいもを平らにし、火の通りを均一にして煮る。
〈撮影/鈴木正美 スタイリング/竹内万貴〉
本田明子(ほんだ・あきこ)
家庭料理家。1982年小林カツ代の内弟子第一号となる。25年間、キッチンスタジオのスタッフ、レシピ製作責任者として200冊近い料理本に携わる。著書に『小林カツ代の伝説のレシピ』(家の光協会)ほか。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです