(『パウンドケーキ無限レシピ』より)
りんごのタタン風パウンドケーキのつくり方
タルト・タタンをパウンドケーキにアレンジしました。型の底にキャラメリゼしたりんごを並べ、その上に生地を流し入れて焼きます。アップサイドダウンケーキのパウンド版です。
材料(パウンド型1台分)と下準備
● りんごのキャラメリゼ | |
・グラニュー糖 | 70g |
・水 | 大さじ1 |
・バター(食塩不使用) | 20g |
・りんご(紅玉) | 小2個(300g) |
▶︎ 皮と芯を除いて16等分のくし形切りにする | |
・レモン果汁 | 大さじ1/2 |
● バター(食塩不使用) | 85g |
▶ 常温に戻してやわらかくする | |
● グラニュー糖 | 80g |
● 全卵 | 80g(1と1/2個分強) |
▶ フォークでほぐし混ぜ、70℃ほどの湯せんにかけて40℃ほどに温めておく | |
● 粉類 | |
・薄力粉 | 65g |
・アーモンドパウダー | 20g |
・ベーキングパウダー | 1g |
▶︎ 合わせる | |
▶︎ 型にオーブン用シートを敷き、アルミホイルで下半分を覆う | |
▶︎ オーブンは天板ごと180℃に予熱する | |
つくり方
1 りんごのキャラメリゼをつくる。フライパンにグラニュー糖と水を入れて中火で熱し、キャラメル色になるまで煮詰める。バターとりんごを加えてざっと混ぜ、さらにレモン果汁を加え、汁けがほとんどなくなるまで5分ほど煮詰める。
2 ボウルにバターを入れ、ハンドミキサーの高速でなめらかになるまで1分ほど混ぜる。
3 グラニュー糖を加え、ふわっとして白っぽくなるまで2~3分混ぜる。
4 卵を5回ほどに分けて加え、そのつどつやが出て筋が見えるようになるまで30秒~1分混ぜる。
5 粉類をふるいながら加え、片手でボウルを手前に回しながら、ゴムべらで底から大きくすくい返すようにして20回ほど混ぜる。ボウルの側面の生地を落とし、さらに10回ほど混ぜる。粉けがなくなればOK。
6 型にりんごのキャラメリゼを芯側を上、皮側を下にして、少し重ねつつできるだけ隙間なく並べる 。フライパンに残ったキャラメルを流し入れ、5を加えて、予熱完了後に170℃に下げたオーブンで40~45分焼く。
7 竹串を中心部に刺してもなにもついてこなければ焼きあがり。型ごと高さ10cmほどから2回落とし、型ごと網にのせて冷ます。
Note
◎りんごは煮崩れしにくい紅玉がおすすめです。なければふじなどでも可。
◎キャラメルが型の隙間から漏れ出る可能性があるので、あらかじめ型をアルミホイルで覆っておきます。
◎りんごが入るので生地の総量は通常より20%ほど減らします。しっとりと仕上げ、りんごと生地の一体感を出すために、薄力粉の一部をアーモンドパウダーに置き換えています。
名前の由来
「タタン」というのはこのお菓子を発案した姉妹の名前です。19 世紀末、ラモット・ブーヴロンという町の「オテル・タタン」を営んでいたタタン姉妹が、ある日につくったりんごのタルトの失敗作がその原型と言われています。ちなみに同ホテルは現在も営業中です。
本記事は『パウンドケーキ無限レシピ』(主婦と生活社)からの抜粋です
〈料理/加藤里名 撮影/福尾美雪 スタイリング/岩﨑牧子〉
加藤里名(かとう・りな)
菓子研究家。大学卒業後、会社員として働きながら「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」でフランス菓子を学び、退職後に渡仏。パリのLE CORDON BLEUの菓子上級コースを修め、その後は人気パティスリー、LAURENT DUCHÊNE にスタージュとして勤務。帰国後の2015年より東京・神楽坂にて「洋菓子教室SUCRERIES」を主宰。著書や雑誌などでレシピを発表するほか、オンラインで販売している焼き菓子はすぐに完売してしまうほどの人気ぶり。著書に『そのまま食べてもおいしい! ふわふわスポンジ生地のお菓子』『あれもこれも作れる! パウンド型のいちばんおいしいお菓子たち』『ナンバーケーキ』(すべて主婦と生活社)、『はじめてのクッキー缶』(家の光協会)、『レモンのお菓子づくり』(誠文堂新光社)など。
◇ ◇ ◇
この本の目的は2つあります。第1には、おいしいパウンドケーキをつくれるようになること。そして第2には、レシピを自在に応用・展開できるようになることです。
パウンドケーキは比較的つくりやすい焼き菓子です。手近にある食材や旬のくだものを組み合わせて、思い立ったらすぐにつくれるような気軽さと包容力がパウンドケーキにはあります。しかしそれでもやはりおいしくつくるためにはこつがあって、まあ、多少ふくらまなくても自分でつくったお菓子はおいしいものですが、まるでプロが焼いたかのようなものができあがれば、それだけつくる喜びは高まることでしょう。
本書では、具材や液体を加えた際の粉類の量や砂糖の量をルール化し、一般家庭でもつくりやすく、失敗しにくい配合をご紹介しています。まずは基本のつくり方に慣れていただきたいと思います。そのうえで、次の段階として、好みの食材でアレンジしてみてください。最初はもしかしたら失敗してしまうかもしれませんが、2度目、3度目にはきっとおいしく焼き上がるはずです。
その瞬間に、あなたの「無限レシピ」は始まります。さまざまなレシピ、さまざまな食材に挑戦するうち、気がつけばあなたはパウンドケーキの本質を掴んでいることでしょう。それは文字では伝えきれない、あなただけの大切な感覚です。季節の恵みを存分に生かしながら、パウンドケーキづくりを楽しんでください。