Q: なかなか眠れないときがあるのですが、どうしたらよいでしょうか?
ベッドに入ってからがなかなか眠くならなくて……
寝つきが悪く、ベッドに入ってから2時間くらい眠れないことが多々あります。ずっと頭の中だけ起きている感じがして、困っています。
ベッドに入ってすぐに眠りにつける方がうらやましいです。すぐに眠れる方と、私のように眠れない人と、何が違うのでしょうか?
寝つきがよくなるコツがあれば教えてください。
(SS さん/43歳・自営業)
A:生活習慣と睡眠環境の改善で、「起きる」「眠る」の生理的リズムを取り戻しましょう
少し体温が下がると、眠くなりますよ
寝つきが悪い要因は生理的リズムの乱れ
寝つきが悪いのがお悩みなのですね。
体には起きる、眠るという生理的なリズムが存在しているのですが、そのリズムの乱れが原因で寝つきが悪い場合が多いです。
そのリズムを戻すためにはまずは朝起きたらすぐに部屋のカーテンを開け朝日を浴びる。朝ご飯をきちんととることが大切です。昼寝をする場合には30分以内にしましょう。定期的な運動も大切です。
また体温が下がる時に眠くなるので、寝る2時間くらい前にお風呂でゆっくり温まり、少し体温が下がって眠気が出てきたら布団に入るようにするとよいと思います。
また覚醒作用のあるアルコールやカフェイン、夜のテレビやスマホを控えるようにしましょう。
眠れる人と眠れない人の違いなのですが、睡眠時間は多少は個人差がありますが、生活習慣からきている部分も多いので、まずは生活習慣の改善が大切だと思います。
眠れる環境の3つの条件、明るさ・音・温度
また眠る部屋の環境を整えることも大切です。
1つ目は明るさですが、薄暗くものの形がうっすらとわかる程度の明るさがおすすめです。真っ暗で眠れる人もいるのですが、真っ暗だと心理的に不安になってしまう人もいるので注意が必要です。
2つ目は音なのですが、無音だと不安になる場合もあり、図書館くらいの静けさがおすすめです。
僕の友人の先生は、電車に乗るとすぐに眠くなることに気づき、電車の音が入ったCDをかけるとすぐに眠れると言っていました。
3つ目は、温度と湿度です。お部屋の温度は夏だと28度以下、冬だと10度以上を保ちましょう。
お布団の中の温度は33度前後がよいとされています。あまり温まりすぎるとかえって眠れない場合もあるので、布団の枚数やパジャマを工夫して適温を調整してください。
湿度は50%前後がよいでしょう。高機能な加湿器では湿度の%を調整できるものもあるので、ぜひ活用してみてください。
睡眠の質に関係する「トリプトファン」「グリシン」「GABA」「Mg」
睡眠の質に関係するといわれている栄養素にはトリプトファンやグリシン、GABA、Mg(マグネシウム)があります。
トリプトファンは睡眠と関係するセロトニンやメラトニンの材料になるアミノ酸で体の中で合成することができないため、食事でとる必要があり、乳製品や青魚に多く含まれます。
グリシンもアミノ酸の一種で体の中の深部体温を下げる働きがあり、寝つきがよくなります。このグリシンは肉類、魚介類に多く含まれ、エビやウニなどには豊富に含まれています。
GABAもアミノ酸の一種で脳の中で働く神経伝達物質で神経の興奮を鎮める作用があります。これは発芽玄米などに多く含まれています。
Mgはミネラルで、メラトニンやレニンなどの睡眠に関係するホルモンを働きやすくする作用がありひじきや昆布、わかめなどに多く含まれているので、こららの食材を摂るようにするのもよいでしょう。
おすすめの漢方
漢方ではイライラしたり興奮して眠れない場合には抑肝散(よくかんさん)、いろいろと思い悩んで、不安で眠れない場合には加味帰脾湯(かみきひとう)、悪い夢を見て途中で起きてしまう場合などには甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)などもおすすめです。
僕も学会の出張でホテルなどに泊まる時には抑肝散を持参して飲んで寝るようにしています。睡眠の改善に少しでも参考になれば幸いです。
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來村昌紀(らいむら・まさき)
頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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