長いものこと
長いもは昔から「精がつく食べ物」といわれてきました。ビタミンC、食物繊維、カリウムが豊富なほか、デンプンを分解し消化を助けるジアスターゼという成分が多く含まれており、栄養を吸収しやすくする働きも。また独特のぬめり成分には、胃腸の粘膜を保護する働きもあります。
そのまま食べればシャキシャキ、すりおろせばトロトロ、ネバネバ、加熱すればホクホク。そしてすりおろしてから加熱すればふわふわ、もちもちに、とさまざまな食感が楽しめるのも長いもの魅力。
扱うときに注意したいのが、かゆみ。長いもの皮の近くにはシュウ酸カルシウムという物質が含まれており、その結晶は針状にとがっていて、それが皮膚にささることによってかゆみが生じます。シュウ酸カルシウムは酸性のものに溶けやすい性質があるため、酢水やレモン水で洗い流すとよいでしょう。
長いもの下処理
おがくずを払い、太いひげ根をとる。水で洗うとぬめりが出て皮がむきにくくなるので、表面をペーパータオルで擦り、汚れや細いひげ根をこそぎ落とす。
切るときは糸のこぎりのように包丁を動かして切ると割れずに上手に切ることができる。
長いも磯辺揚げ 梅風味のつくり方
熱が加わると酸味が弱くなるので、少し多めに梅干しを入れるのがポイント。
材料(2〜3人分)
● 長いも | 10cmぐらい |
● 酒 | 大さじ1 |
● 梅干し(果肉を叩く) | 大さじ1 |
● のり(四つ切り) | 8〜10枚 |
● 米油 | 適量 |
● 塩 | 少々 |
つくり方
1 長いもはピーラーで一枚ずつ皮をむき、すべらないようにペーパータオルで巻き、すり鉢に当てる。
2 ボウルに梅干し、酒を入れてなじませ、すり鉢に入れてよく混ぜる。
3 鍋に米油を入れ、170℃に熱する。
4 小さなおたまで1杯分をのりにのせ、二つ折りにした状態で3に入れ、箸で少しおさえながら1〜2分ほど揚げる。
〈料理/松田美智子 撮影/山田 耕司 取材・文/村上有希〉
松田美智子(まつだ・みちこ)
日本料理をベースにした家庭料理の教室を1993年より主宰。鎌倉で育った子ども時代から身近だった保存食づくりを基本に、いまの時代に無理なく楽しめる季節の仕事を提案。著書に『丁寧なのに簡単な季節のごはん』(小学館) amazonで見る など。
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