昔はお客様のために、今は自分のために
暖かい日と肌寒い日を行ったり来たり。
飾る切り花も床暖がある部屋は避けて、あっちに置いたりこっちに置いたり。
わたしの1日は、花たちの水換えから始まります。
よどんだ水を捨て花器をよく洗い必要があれば茎の先っちょをちょっとカット。
お世話しながら「君たち今日もかわいいね〜」と褒めちぎっています。
花はわたしにとって心のゆとりのバロメーター。
心のゆとりのバロメーターとは?
カフェロッタがあった頃、店のテーブルには必ず花を飾っていました。自分のためではなくお客様のために。
今でこそ花は欠かしませんが当時は家に花を飾ろうという心のゆとりとお世話する時間がなんだかまったくなかったの。
花屋の前を通りがかった時にかわいい花と目が合うと、「たまには家にも花を飾ろっかなー」って迷ったけど「いやいや、どうせ夜しか家にはいないし。すぐ枯らしちゃうし」と買わず終い。
花は自分への小さなプレゼント
花の仕事をしている友人が多いのであまり大きな声では言えないけど正直わたしは『枯らし名人』だったのです。
そりゃそうよね、だってお手入れも愛情も注がないんだもん。
花好きの母の影響でしょうか、小さい頃から花は大好きで花に囲まれて生活したいのに、心と時間にゆとりがなかったのです。
パリを旅するたびに買い集めていたかわいい花器は山ほどあるのに出番がなく、ただの飾り物になっていました。
あっ! 今ふと思いました。パリに着くとホテルの部屋に飾る花を真っ先に買いに行きます。
現実から離れてまさに心にゆとりができるのでしょうね。
でも今は違いますよー! 生活が180度変わって家で書き仕事をすることが増えほぼ毎日在宅。
朝時間もゆとりができて家のいたるところに小さな花を飾って季節の移り変わりを楽しんでいます。
目から癒される花は自分への毎日の小さなプレゼント。
近所の花屋でどれにしようかなって選ぶ時から楽しくて、私にとっては心が豊かになるかわいいサプリメントです。
数年前にとりあえず使えたらいいやって量販店で300円ぐらいで購入した花鋏を使っていますが、近々切れ味の良い長く愛用できる花鋏を購入予定。
とりあえずはダメ! 道具って大事だもん。
そろそろ枯らし名人の汚名も返上だーい!
読んでくださってありがとー。
桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。現在は、文筆業や、買い付けなどを行う。『カフェロッタのことと、わたしのこと』『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(ともに旭屋出版)に続く3冊目の著書『マダム・ロッタとパリ行かない?』(旭屋出版)が好評発売中。
インスタグラム:@kaorilotta
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